モロ・イスラム解放戦線

共同通信ニュース用語解説 「モロ・イスラム解放戦線」の解説

モロ・イスラム解放戦線(MILF)

フィリピンマルコス政権が1960年代後半からイスラム教徒を弾圧したのを機に設立されたモロ民族解放戦線(MNLF)から、分派して発足。MNLFが96年にフィリピン政府和平合意した後も戦闘続行。97年から政府と和平交渉を始め、2014年に包括和平に合意した。ミンダナオ島での一連紛争による死者は、17万人に上るともいわれる。(コタバト共同)

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知恵蔵 「モロ・イスラム解放戦線」の解説

モロ・イスラム解放戦線

南部フィリピンのミンダナオ島西部とスールー諸島に集住するイスラム教徒(全人口の約5%、350万人)の分離独立要求などを掲げる武装闘争組織。MILFは、マニラ中東で高等教育を受けた新世代リーダーたちがマルコス政権下の1960年代末に組織したモロ民族解放戦線(MNLF:Moro National Liberation Front)から70年代後半に分派したグループが、ハシム・サラマット議長を指導者に84年に旗揚げした。MNLFは、96年にインドネシアなどの仲介でラモス政権と和平合意し、南部に「モスリム・ミンダナオ自治区(ARMM)」(当初、4州で構成、その後に5州1市に拡大)が設けられて体制組織に転換。だがこのARMMの運営などに対する不満派がMILFに合流。サラマット議長は2003年7月死去、ムラド司令官が後任議長に就いた。MILFは、マレーシアの仲介で、アロヨ政権が後押しするMNLF指導部との統合などに向けた和平交渉を進めているが、先祖伝来の土地の認定・線引きなどをめぐって交渉は一進一退が続いている。南部では90年代初頭、イスラム過激派組織アブサヤフ(Abu Sayyaf)も結成され、テロ資金稼ぎの誘拐事件などを繰り返している。米国は、国際テロ組織アルカイダやジェマー・イスラミア(JI)とのつながりがあるとみて、01年の9.11米同時多発テロ事件以降、アブサヤフを「対テロ戦争」の標的にしている。

(大野拓司 朝日新聞記者 / 2008年)

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デジタル大辞泉プラス 「モロ・イスラム解放戦線」の解説

モロ・イスラム解放戦線

《Moro Islamic Liberation Front》フィリピン南部のミンダナオ島中部の各州、南西部のスールー州、バシラン州などで活動する反政府武装組織。モロ族の自治権確立を目標に掲げる。1976年の「モロ民族解放戦線(MNLF)」と政府の停戦合意に反対する勢力が離反して結成。1981年にミンダナオ島に本拠地を設立、1984年より現組織名を名乗り武装闘争継続を宣言。2003年以降和平路線に転じ、一部強硬派は離脱。2012年には政府との間の和平枠組みに合意。モロ族自治区の建設について政府との交渉を継続している。

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