ユクエピラチャシ跡(読み)ゆくえぴらちやしあと

日本歴史地名大系 「ユクエピラチャシ跡」の解説

ユクエピラチャシ跡
ゆくえぴらちやしあと

[現在地名]足寄郡陸別町字トマム

利別としべつ川西岸に所在するチャシ跡。前近代の地誌・紀行類にはみえない。明治二四年(一八九一)河野常吉らが当地を訪れ、河野の論文中で紹介された。チャシ跡は崖端に三条の連結壕と付随する壕からなる、いわゆる面崖式の形態を呈しているが、本来は丘頂式であった可能性が高い。試掘ではA郭は少なくとも三段の土壇で整形されており、B郭からは柵列跡と礫集中などが検出された。また壕の外側には幅約二六メートルにわたって灰白色火山灰が規則的に積重ねられ、往時遠目には白いチャシで、盛土堆積から少なくとも三回にわたる改築があったらしい。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

国指定史跡ガイド 「ユクエピラチャシ跡」の解説

ユクエピラチャシあと【ユクエピラチャシ跡】


北海道足寄(あしょろ)郡陸別町トマムにある三郭連結式のチャシ(砦)跡。利別(としべつ)川の右岸にある段丘上に周囲を深さ3mの堀で囲み、16世紀中頃に築造されたと考えられている。南北110mにわたる道内屈指の規模。伝承によれば、リクンベツ(陸別)の首長、カネランのチャシ(カネランチャシ)跡であるといわれている。1987年(昭和62)に国指定史跡となり、2002年(平成14)から陸別町教育委員会によって史跡整備事業が行われた。郭外の大規模な盛り土の中に遺物が集中し、シカの骨をはじめ鉄器、骨角器、陶磁器、ガラス玉など10万点以上が出土している。この郭外盛り土は白い火山灰が表面に盛られており、築造当時は白く美しい外観をもつものであったと考えられている。現在は、これを当時と同じように火山灰を用い、発掘調査で得た盛り土範囲の情報をもとに散布して復元している。そのほか、園路や観望地点、総合案内板が整備され、大型チャシの美しい全体像が一望できる環境となっている。ふるさと銀河線陸別駅から徒歩約15分

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

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