日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヨシノゴチ」の意味・わかりやすい解説
ヨシノゴチ
よしのごち / よしの鯒
flathead
[学] Platycephalus sp. 1
硬骨魚綱スズキ目コチ科に属する海水魚。学名はまだ与えられていない。神奈川県三崎以南、黄海、東シナ海、台湾に分布する。従来、本種はシロゴチともよばれ、マゴチ(クロゴチ)Platycephalus sp.2と一緒にされていた。しかし本種は目が大きく、両眼間隔幅が狭いこと、下顎(かがく)の先端が尖ること、体は白っぽくて、背面に茶褐色の小さい斑点(はんてん)が一面に分布すること、胸びれの後半分は暗色であること、胸びれの内面が黒っぽいことなどで区別できる。水深25~40メートルの沖合の砂泥底にすみ、おもにエビ類、シャコ類、カニ類、ヤドカリ類などの甲殻類のほかに魚類、ヒトデ類なども食べる。産卵期は3~5月。卵径は0.9ミリメートルで、全長2.3ミリメートルほどの仔魚(しぎょ)が孵化(ふか)する。1年で30センチメートル、5年で40~50センチメートル、12年で44~53センチメートルになり、雌のほうが成長がよい。底引網、刺網などで漁獲される。旬は夏。肉は硬く、白身で淡泊で、刺身、洗い、から揚げ、てんぷら、煮つけ、鍋物にする。
[尼岡邦夫]