ヨナタン(英語表記)Jonathan

翻訳|Jonathan

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヨナタン」の意味・わかりやすい解説

ヨナタン
Jonathan

旧約聖書中の人物。同名者多数。すべて生没年は未詳。 (1) サウル長子ダビデの親友。父サウルはダビデの勇名をねたんで殺そうとしたが,ヨナタンはダビデを愛していたのでダビデの功績を説いてとりなし,のちには彼の逃亡を助けた (サムエル記上 19章) 。ダビデは対ペリシテ戦争で死んだサウルとヨナタンのために悲しみの歌をもって哀悼している (同下1章) 。 (2) モーセの子ゲルショムの子,つまりモーセの孫。ヨナタンとその子孫はダン人の部族の祭司となった (士師記 18・30) 。 (3) ユダの子孫ヤダの子 (歴代志上2・32) 。 (4) ダビデの軍団の勇士,ハラル人シャゲの子 (歴代志上 11・34) 。 (5) ダビデの叔父,学者,議官 (歴代志上 27・32) 。 (6) ウジヤの子。ダビデの王室の財産管理にあたった (歴代志上 27・25) 。 (7) エリの子孫アビヤタルの子で,ダビデを支持した。ソロモンアドニア王位を争うと父アビヤタルとともにアドニヤ側につき,アナトテに追放されたらしい (列王紀上2・26) 。 (8) ダビデの兄弟シメアの子。ガテでペリシテの巨人を倒した (サムエル記下 21章) 。

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改訂新版 世界大百科事典 「ヨナタン」の意味・わかりやすい解説

ヨナタン
Jonathan
生没年:?-前1000ころ

イスラエル王国初代の王サウルの長子。サウルを助けてペリシテ人と勇敢に戦い,ついに父や兄弟とともにギルボア山で戦死した。他方,サウルに仕えた将軍ダビデと固い友情を結び,嫉妬深い父からダビデをかばってその逃走を助けた。悪霊につかれたサウルとは対照的に,友情に厚い理想的な勇士としてヨナタンを描く《サムエル記》の叙述は,ダビデの王位正当化を意図する歴史的記述に由来する。
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世界大百科事典(旧版)内のヨナタンの言及

【ダビデ】より

…別の伝承によると,ペリシテ人の勇士ゴリアテGoliathを倒して認められ,サウルに仕えるようになったという。いずれにしてもサウルの武将として頭角を現し,サウルの息子ヨナタンと深い友情で結ばれ,サウルの娘ミカルMichalを妻に与えられた。しかし,彼の成功をねたんだサウルに命をねらわれるようになり,宮廷から逃亡してユダの荒野に身を潜め,サウルの支配に不満を抱く人々を集めた。…

※「ヨナタン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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