ライマメ(読み)らいまめ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ライマメ」の意味・わかりやすい解説

ライマメ
らいまめ / 莱豆
[学] Phaseolus lunatus L.

マメ科(APG分類:マメ科)の多年生つる草。ライマビーン、アオイマメともいう。草姿はインゲンマメに似ており、つるなしの品種もある。夏に葉腋(ようえき)から花枝を出し、普通は白色の蝶形花(ちょうけいか)を10個ほどつける。莢(さや)は三日月形で扁平(へんぺい)。中に3、4粒の、直径1.5~2センチメートル、扁平、白色の種子(豆)が入っている。豆の色は品種により赤、黒、まだら紋様などさまざまのものがある。豆が大形の系統(大粒ライマメ)と小形の系統(小粒ライマメ)がある。大粒ライマメはペルーのアンデス山地東部が原産地で、紀元前3300~前2500年に栽培化されたと考えられ、小粒ライマメはメキシコ南部が原産で、前1世紀ころに作物化されたとみられ、両系統は別個に栽培が始められたと推定されている。16世紀にペルーのリマ港から初めてヨーロッパに伝えられたのでlima beanとよばれ、その英語音のままライマ豆がなまってライマメの名となり、また意訳から月豆(げっとう)の名がついた。日本には江戸時代に初めて伝来し、また明治時代に北海道に導入されたが、ほとんど普及していない。なお日本では春に播種(はしゅ)し、秋には霜で枯れて一年生となる。

[星川清親 2019年11月20日]

利用

完熟した豆にはファセオルナチンや青酸が含まれるので、食べると中毒する。このためあらかじめ一晩水に浸(つ)けてからよくゆでて、何回も水を取り替えてから食用とする。中毒を防ぐため、アメリカでは青酸100ppmを危険限度として定められている。若莢は煮ると淡い甘味があり、美味でシュガービーンsugar beanとよばれている。日本にも輸入され、煮豆や餡(あん)の増量に用いられている。また未熟青豆は缶詰あるいは冷凍加工されて、煮込みや塩ゆでなどの料理に用いられる。

[星川清親 2019年11月20日]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のライマメの言及

【豆】より

…南アメリカ原産のインゲンマメはアフリカやインドでも主食的に利用される重要な豆類であるし,ボリビア原産のラッカセイは,その高い脂肪含有量のため広く食用にされ,どちらも世界の各地で栽培されている。その他にも〈もやし〉に多用されるインド原産のリョクトウ,若い豆果が野菜とされるアフリカ原産のササゲ類(ササゲ,ヤッコササゲ,ジュウロクササゲなど)や,熱帯アジア原産のナタマメやシカクマメPsophocarpus tetragonolobus(英名fourangled bean),それに加えて中央アメリカや南アメリカ原産のライマメPhaseolus lunatus(英名lima bean),ベニバナインゲン,インド原産のヒヨコマメフジマメ,アフリカ原産のキマメなど,多数の種が栽植され,利用されている。これら熱帯系の豆類のうちのいくつかは,温帯圏での夏作作物となっており,日本でも栽培されている。…

【有毒植物】より

ドクゼリに含まれるシクトキシンも同様の作用を発揮する。バラ科のアンズ,ウメ,モモなどの種子はアミグダリン,マメ科のライマメ,イネ科植物などはリナマリンなどの青酸配糖体を含有し,腸内細菌の働きで青酸を遊離する結果,チトクロム酸化酵素の活性を阻害し呼吸を止めてしまう。 以上のような有毒植物に対しワラビのプタキロサイドやソテツのサイカシンなどにはいずれも,長期の摂取による発癌性が認められている。…

※「ライマメ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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