日本大百科全書(ニッポニカ) 「ラジオコンパス」の意味・わかりやすい解説
ラジオコンパス
らじおこんぱす
radio compass
主として航空機に搭載され、一つの計器の中にADF(自動方向探知機)と磁気誘導コンパスを組み合わせた航法用の計器。この組合せを総称してADFとよぶこともある。計器面上には方位を示す板(コンパスカード)があり、磁気受感部からの信号に応じて回転し、コンパスカードのNはつねに磁北をさす。計器面上にはまた2本のADF指針があり、それぞれADF電波標識局の電波を受けてその方位を指示する。したがって、コンパスカードで指針の方位を読み取れば航空機のADF標識局に対する方位がわかり、標識局へのホーミング(無線標識に向かって飛行すること)や2本の指針の関係方位からおおよその現在位置を知ることができる。しかし、現在では精度が格段に向上したVOR(超短波全方向式無線標識施設)が主流となっているので、特殊な用途のほかでは使われていない。
[落合一夫]