化学辞典 第2版 「リビングポリマー」の解説
リビングポリマー
リビングポリマー
living polymer
重合終了時においても重合体末端に活性種を保持しているような重合体のこと.1956年に,M. Szwarcがナトリウム=ジヒドロナフチリドNa+ Ca10H8-を触媒とするスチレンの重合においてはじめて見いだした.リビングポリマーの生成反応は,次のようなアニオン重合と考えられている.まず,ナフタレンのラジカルアニオンは電子供与体としてはたらき,電子1個を放出してナフタレンになる.一方,スチレンは電子受容体として電子1個をとり,ラジカルアニオンをつくって赤色となる.この先のアニオン連鎖成長反応の段階は必ずしも明確ではない.リビングポリマーは,二酸化炭素,エチレンオキシド,エステルなどと容易に反応する.リビングポリマーの生きているという特徴を生かして,ブロック共重合体を得ることもできる.たとえば,ポリスチレンのリビングポリマーにブタジエン,アクリロニトリルなどを接触させると,それぞれに対応するブロック共重合体が生成する.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報