リヤオニン省(読み)リヤオニン(英語表記)Liaoning

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「リヤオニン省」の意味・わかりやすい解説

リヤオニン(遼寧)〔省〕
リヤオニン
Liaoning

略称はリヤオ (遼) 。中国,東北地方南部の1級行政区。 14特別市に分れ,5市,32県,5自治県から成る。行政中心地はシェンヤン (瀋陽) 市。 1907年初めて省制が施行されて奉天省となり,民国で遼寧と改名。 56年熱河省の一部を編入して現在の省域となった。中部はリヤオ河と支流のフン (渾) 河,タイツー (太子) 河の沖積地であるリヤオ河平原で,トンペイ (東北) 平原の南部にあたる。一般に標高は 50m以下。東部はチャンパイ (長白) 山脈に続く山地で,その支脈のチエンシャン (千山) 山脈はリヤオトン (遼東) 半島を形成している。西部は内モンゴル (蒙古) 高原に続く山地で,北東から南西方向の山脈が並行する。1月の平均気温は北部で-16℃,南部で-5℃,7月は 24℃と 26℃。年降水量は北西部が 500mm,東部が 1200mm。夏季は温暖多雨であるが,冬季は寒冷で結氷は3~4ヵ月に及ぶ。主要農業地域はリヤオ河平原で,食糧作物はコーリャントウモロコシ,アワを主とし,水稲の作付けもふえている。工芸作物はダイズをはじめワタ,タバコ,ナンキンマメが多く,アブラナも栽培される。リヤオトン半島は中国の代表的なさく蚕糸の産地で,リンゴ,ナシなどの果樹作も盛ん。沿岸では漁業,製塩コンブなどの養殖が行われる。チャンシャン (長山) 群島付近は好漁場として知られる。地下資源は鉄と石炭がきわめて豊富である。鉄鉱山はアンシャン (鞍山) 市,ペンシー (本渓) 市,リヤオヤン (遼陽) 市,炭鉱フーシュン (撫順) 市,フーシン (阜新) 市,ペンシー市,ペイピヤオ (北票) 市などにある。オイルシェールマンガンマグネシウム,モリブデン,滑石などにも富む。これらを背景に,中国有数の工業地帯となっており,シェンヤン市が機械を中心とした総合工業都市,アンシャン市が製鉄都市として知られるほか,各鉱山都市にも重工業が立地している。ターリエン (大連) 市は中国の主要貿易港の一つで,造船,機械などの工業が発達。チンハー (京哈) 鉄道が通るシェンヤン市を中心に鉄道網が発達する。住民は漢族のほか満州族,モンゴル族,ホイ族,朝鮮族など。面積 14万 5900km2。人口 3945万 9697 (1990) 。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

大臣政務官

各省の長である大臣,および内閣官房長官,特命大臣を助け,特定の政策や企画に参画し,政務を処理する国家公務員法上の特別職。政務官ともいう。2001年1月の中央省庁再編により政務次官が廃止されたのに伴い,...

大臣政務官の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android