改訂新版 世界大百科事典 「ルクリュ」の意味・わかりやすい解説
ルクリュ
Jean Jacques Elisée Reclus
生没年:1830-1905
フランスの地理学者。1850-51年,ベルリン大学でK.リッターに学ぶ。51年に共和主義のため祖国を追われて欧米諸国を旅行。57年帰国,のち政治活動や各地の探検を行うほか,多数の評論・論文を執筆。71年パリ・コミューンにかかわって捕らえられ,スイスに亡命,居住する。79年以後クロポトキンと親交があり助け合う。地球を有機体とみる《大地》2巻(1867,68)をはじめ,《新世界地理--土地と人》19巻(1875-94)がとくに有名。自然と人間の結びつきを軸に,多くの図版や地図を駆使して,文学的に美しく描写する。本書は英語に訳され,92年パリ地理学会から金賞を受け,同年ブリュッセル大学比較地理学教授となる。人間のとらえ方が今日注意をひく。弟のオネジムOnésime R.(1837-1916)も地理学者。
執筆者:松田 信
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報