リッター(英語表記)Karl Ritter

デジタル大辞泉 「リッター」の意味・読み・例文・類語

リッター(Karl Ritter)

[1779~1859]ドイツの地理学者A=フンボルトとともに近代地理学の樹立に貢献し、人文地理学の方法を確立した。著「地理学」(副題、一般比較地理学)。

リッター(liter)

リットル

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精選版 日本国語大辞典 「リッター」の意味・読み・例文・類語

リッター

  1. ( Karl Ritter カール━ ) ドイツの地理学者。フンボルトと並ぶ近代地理学の祖。自然と歴史との関連を論じた。主著「地理学」。(一七七九‐一八五九

リッター

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] liter ) =リットル(立)

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改訂新版 世界大百科事典 「リッター」の意味・わかりやすい解説

リッター
Karl Ritter
生没年:1779-1859

ドイツの地理学者。近代地理学の創始者といわれる。ケドリンブルクに生まれ,6歳のときから11年間シュネップェンタールで教育者C.G.ザルツマンの汎愛学舎に学ぶ。ハレ大学に2年学んだ後,スイス,イタリアをはじめヨーロッパ各地を旅行,イベルドンにJ.H.ペスタロッチを訪れたことも数回ある。ゲッティンゲンに移り(1813-16),ここで学びかつ多くの学者と交流し,著作に専念した。《自然および人間の歴史とのかかわりにおける地理学Erdkunde》2巻(1817,18)を著す。これは地理学に科学としての基礎を与え,出発点を設定するもので,当時の大きな評価を受け,彼をベルリンに招聘せしめるもとになった。一時フランクフルトのギムナジウムで教えていたが,1820年ベルリンに移り,陸軍大学とベルリン大学(1825年より正教授)で講義を始める。ベルリン大学は,ここで初めて地理学の講座を開く。世界で最初で,外国人受講生も多かった。門下からは,J.G.コール,J.J.E.エリゼ・ルクリユ(フランス),A.ギヨー(スイス)らが出た。前著2巻本の改訂増補・再版は,他の著作とは別に続けられ,1822-59年の間に19巻が出たが,彼の死により中断され,世界地誌としてはアフリカアジアで終わった。ほかに《一般比較地理学序言》(1852)があり,これはベルリン学士院での講演を多く収録した重要な論文集である。
執筆者:


リッター
Johann Wilhelm Ritter
生没年:1776-1810

ドイツの化学者,物理学者。ドイツにおけるガルバーニ電気研究の先駆者として,多くの優れた研究を行った。イェーナ大学に入学し,A.vonフンボルトの勧めにより,1797年よりガルバーニ電気の研究を始めた。1800年タンバン(胆礬。硫酸銅を含む鉱物)を電気分解すれば,銅の析出がおこることを見いだした。03年には同一金属のみからなる電堆(充電電堆)を製作して,分極現象を見いだしたが,これは蓄電池の原形とみなされている。また,05年にはオームの法則の先駆的な認識に達していた。1801年には,スペクトルの紫色の外側に塩化銀を黒化する光(紫外線)が存在することを示した。
執筆者:


リッター
Gerhard Ritter
生没年:1888-1967

ドイツの歴史家。ハンブルク大学(1924)を経て,1925-56年フライブルク大学歴史学教授。ビスマルク研究から出発し,宗教改革時代史にも向かう。1938年以来《宗教改革史雑誌》の編集者。ルターフリードリヒ大王プロイセン改革を進めたシュタインの伝記,また権力問題と取り組んだ《権力国家ユートピア》(1940)がある。44年ナチスへの抵抗運動に関係したため収監された。戦後は西ドイツ史学界の指導的存在。晩年の大著《国政と軍職》4巻がある。
執筆者:

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「リッター」の意味・わかりやすい解説

リッター(Johann Wilhelm Ritter)
りったー
Johann Wilhelm Ritter
(1776―1810)

ドイツの電気学者。ハイナウ(現、ポーランドのホイヌフ)近くの牧師の子。1796年から2年余イエナ大学で医学を学ぶ。ゴータ公に出仕(1801)、母校の講師(1803~1804)を経て1805年からミュンヘンの科学アカデミー会員。在学中にガルバニズムの研究を始め、異種金属セルによる水の電気分解、これによる摩擦電気とガルバニズム電気の同一性の証明(1799~1800)、金属の電気化学列の発見とこれに基づくセル電流発生の化学機構説の提唱(1798)、乾電池の発明(1802)、蓄電池の製作(1803)、オームの法則の先駆的発見(1805)、動植物の電気生理学など多大の開拓的業績をあげた。また、自然界の「極性」という概念に基づき、赤外線の存在が知られるとすぐに紫外線を発見する(1801)。しかし、自然哲学的思弁に勝り、学界に認められず、33歳にして不遇のまま早世する。

[肱岡義人]


リッター(Karl Ritter)
りったー
Karl Ritter
(1779―1859)

ドイツの地理学者。ハレ、ゲッティンゲン大学卒業後、教育関係の仕事に従事していたが、1820年よりベルリン大学の教授となり、フンボルトとともに近代地理学の樹立に貢献した。しかし、フンボルトが自然地理学の創始者と目されるのに対して、リッターは人文地理学の祖述者である。1817年『地理学』Die Erdkundeを著したが、副題に「自然と人類の歴史との関連、すなわち一般比較地理学」と記されているように、リッターは地理学をもって自然と人類社会の因果関係を考察すべきことを主張。18世紀の観念論の影響を受け、地表を人類の居住の場所であるのみならず、神による人類の教育の場所とみなすなど、なお所論に神学的目的論の色彩が認められる。また比較地理学を主張するように、世界の各地域の地域的個性を比較究明するために、『地理学』の続編として22年から38年を費やして、19巻にわたる膨大な世界の地誌的記述を行ったが、アジア、アフリカ以外の地域は未完に終わった。

[織田武雄]


リッター(Gerhard Ritter)
りったー
Gerhard Ritter
(1888―1967)

ドイツの歴史家。フライブルク大学教授(1925~56)。第三帝国末期に抵抗運動に連座して収容所に入った良識ある保守派。その学風は、ドイツ歴史学の伝統に忠実な政治史で、歴史上の偉大な人物への共感に満ち、戦後はナチスによって汚されたドイツのよき伝統を守ろうとした。主著『ルター』(1925)、『シュタイン』二巻(1931)、『フリードリヒ大王』(1936)、『政治と軍事』四巻(1954~68)。

[木谷 勤]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「リッター」の意味・わかりやすい解説

リッター
Ritter, Gerhard

[生]1886.4.6. カッセル,バートゾーデン
[没]1967.7.1. フライブルク
ドイツの歴史家。 H.オンケンの教えを受け,1924年ハンブルク大学,25年以降フライブルク大学教授。 44~45年ヒトラーへの抵抗運動に参加して拘禁された。第2次世界大戦後フライブルク大学教授に復帰,ドイツ歴史協議会議長をつとめた。穏健自由主義の立場をとり,特に 19世紀以降のドイツ史,ドイツ軍部の研究で著名。主著『シュタイン伝』 Stein (2巻,1931) ,『フリードリヒ大王』 Friedrich der Grosse (36) ,『権力思想史』 Die Dämonie der Macht (48) ,『政治と軍事』 Staatskunst und Kriegshandwerk (3巻,54~65) 。

リッター
Ritter, Carl

[生]1779.8.7. クウェドリンブルク
[没]1859.9.28. ベルリン
ドイツの地理学者。 1820年以降ベルリン大学教授として,ヨーロッパ諸国の多くの地理学者を育成した。歴史過程や自然史と地理学との関連を主張し,フンボルトとともに現代地理学の創始者とされている。その理論的根底は,J.ペスタロッチの教育原理と J.ヘルダーの人類と環境とに関する理論であるが,世界の正確な知識は自然現象の鋭い観察によって得られるとした。主著に『自然と人類史とのかかわりにおける地理学』 Die Erdkunde im Verhältnis zur Natur und zur Geschichte des Menschen (2巻,1817~18,2版 22~59) がある。

リッター
Ritter, Johann Wilhelm

[生]1776.12.16. シュレジエン,サミッツ
[没]1810.1.23. ミュンヘン
ドイツの物理学者。イェナ大学で医学を学び,のちそこで教えた。おもに電気,電気化学の研究に従事。金属の電気化学列に相当する概念を提唱 (1798) ,水の電気分解の研究 (1800) ,電気メッキ法の発見,熱電流の先駆的研究 (01) ,乾電池の発明 (02) ,蓄電池の原理 (03) などが知られる。また紫外線の化学作用に関する先駆的業績を残した (01) 。

リッター
Ritter, Constantin

[生]1859
[没]1936
ドイツの哲学者,古典文献学者。テュービンゲン大学教授。プラトン研究で知られ,プラトンの著作の成立年代をその言語使用の面から考察した。主著"Platos Dialoge" (2巻,1903,09) ,"Die Kerngedanken der platonischen Philosophie" (30) ,"Platonismus und Christentum" (34) 。

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百科事典マイペディア 「リッター」の意味・わかりやすい解説

リッター

ドイツの地理学者。自然科学から歴史学,地理学に入り,A.v.フンボルトの教えを受け,1825年以降ベルリン大学教授として地理学を講じた。近代地理学の創始者の一人で,地理学を統一された独立の科学として高めることに努力し,方法論としての比較,自然と人間生活の関係における歴史的要素などを重んじ,人文地理学と地誌研究の分野に大きい影響を残した。主著《一般比較地理学序言》(1852年)。
→関連項目人文地理学地理学フンボルト

リッター

ドイツの化学者,物理学者。ドイツにおいて初めてガルバーニ電気(ガルバーニ)について研究。水を電気分解して水素と酸素を遊離,硫酸銅溶液の電気分解で銅の沈殿を得た(1800年)。紫外線の化学作用に基づき太陽光中にその存在を発見(1801年)。また同一金属のみからなる電堆を作製し分極現象を発見し(1803年),蓄電池製作の先駆者となった。
→関連項目紫外線

リッター

ドイツの歴史家。ハンブルク,フライブルク両大学教授。ドイツ近世史研究におけるプロイセンの伝統を積極的に評価,また従来のドイツ史学が外交史,国家史に偏していた点を批判した。主著は《国政と軍職》《16世紀におけるヨーロッパの革新》のほか自己の体験に基づく《ゲルデラーとドイツの抵抗運動》。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「リッター」の解説

リッター(ゲルハルト)
Gerhard Ritter

1888~1967

第二次世界大戦後西ドイツの歴史学界を代表した歴史家の一人。プロイセンの伝統を積極的に評価しようとする。『政治と軍事』(1954~64年)ほか著書多数。保守的な歴史家だが,大戦中は反ナチス抵抗運動にかかわって一時拘禁。


リッター(カール)
Karl Ritter

1779~1859

ドイツの地理学者。1807年アレクサンダー・フォン・フンボルトを知って地理学の道に進み,近代的学問としての地理学を基礎づけた。1820年ベルリン大学教授。主著『自然と歴史との関わりにおける地理学』。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「リッター」の解説

リッター Ritter, Hermann

1828-1874 ドイツの理化学者。
明治3年(1870)金沢藩の招きで来日するが,金沢へはいかず,K.ハラタマの後任として大阪理学所にはいる。6年東京の開成学校教師となり,わが国の理化学教育の基礎をきずく。明治7年12月25日横浜で病死。46歳。ハノーバー出身。ゲッティンゲン大卒。

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世界大百科事典(旧版)内のリッターの言及

【紫外線】より

…このためレンズ,窓,フィルター,鏡などで,広い波長範囲で良好な特性をもつ光学器材を得ることは困難である。紫外線の発見は,1801年にドイツのリッターJohann Wilhelm Ritter(1776‐1810)が,太陽光のスペクトルの可視部分より短波長側に,塩化銀を黒化させる作用をもつ部分があることを見いだしたのが最初とされている。
[波長区分]
 実験技術上,紫外線に対しては便宜的な波長区分がよく用いられる。…

【紫外線】より

…このためレンズ,窓,フィルター,鏡などで,広い波長範囲で良好な特性をもつ光学器材を得ることは困難である。紫外線の発見は,1801年にドイツのリッターJohann Wilhelm Ritter(1776‐1810)が,太陽光のスペクトルの可視部分より短波長側に,塩化銀を黒化させる作用をもつ部分があることを見いだしたのが最初とされている。
[波長区分]
 実験技術上,紫外線に対しては便宜的な波長区分がよく用いられる。…

【郷土論】より

…哲学者のJ.G.vonヘルダーは田園の風物や民俗の意義を強調し,〈風土〉の思想を提唱したし,H.ペスタロッチは郷土における生活体験に即した教育哲学の必要性を唱えた。ヘルダーとペスタロッチの影響のもとでK.リッターは,土着の住民たちの郷土への鋭い理解こそ地理学の出発点であると主張し,地域を探究する近代地理学を創始した。住民たちの郷土観照のあり方が地名に反映していると見て,地名研究に関心を向けたのもリッターである。…

【地理学】より

…このほか,ビュアシュP.Buache(1700‐73)やガッテラーJ.C.Gatterer(1727‐99)による自然地理的地域区分の提唱,ビュシングA.F.Büsching(1724‐93)の世界地誌,J.G.vonヘルダーの歴史哲学的著書などは,それぞれ近代地理学の成立に影響を与えた。 19世紀の前半は,A.vonフンボルトとK.リッターによって代表される近代地理学の草創期である。フンボルトは,熱帯アメリカにおいて科学的な野外調査の模範を示し,自然現象の専門的観測調査の成果を総合して,生きた自然世界の全体像を把握しようと努め,ライフワーク《コスモス》を著した。…

※「リッター」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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