平衡状態にある物質系の温度または圧力を変えたとき、その平衡状態がどのように移動するかを示す法則。平衡移動の法則あるいは原理principle of mobile equilibriumともいうが、1884年フランスのル・シャトリエが提唱し、またブラウン管の発明で有名なドイツのK・F・ブラウンも独立にみいだして(1887年)発展させたので、「ル・シャトリエ‐ブラウンの法則」ということもある。
一般的にいえば、熱力学的に平衡にある系に、外部からある作用が働くとき、その作用による影響を弱める方向にその平衡が変化すると言い表すことができる。これは物理的変化、化学的変化のいずれの場合にも適用できる。たとえば
N2+3H2=2NH3, ΔH=-11.04kcal
の反応の平衡において、温度を一定として、圧力を増やすと(圧縮すると)、この外部からの影響を弱める方向、すなわち圧力を減らす方向に平衡が移動する。それは、左辺よりも右辺のほうがモル数が少ない(圧力は減少する)から、右辺への方向であり、したがって高圧下のほうがアンモニア合成に有利であることがわかる。またこの反応は発熱反応であるから、温度は低いほうがよいことがわかる。
[戸田源治郎・中原勝儼]
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