化学反応では、原系から生成系へと正方向に反応が進行(正反応)するが、同時に逆方向へも反応が進む(逆反応)ようなタイプの反応をいう。一般に、どんな反応でも十分時間がたてば化学平衡に達し、正反応の速度と逆反応の速度とが等しくなって、見かけ上、反応の進行は止まってしまう。厳密にいえば、すべての反応は可逆反応であり、片方向にしか進まない反応はないわけだが、この平衡が原系もしくは生成系のどちらかに極端にずれている場合は、見かけ上まったく反応が進まなかったり、あるいは全部反応して生成系のみになってしまう。これを不可逆反応という。これに対し、平衡がこのように極端にずれていない場合は、原系、生成系のモル濃度比がある一定比になったところで平衡に達する。たとえば、エタノール(エチルアルコール)と酢酸からのエステル生成反応は、
原系物質の濃度が高ければ正方向に反応が進行し、生成系であるエステルの濃度が高ければ逆方向に反応が進行する。そしていずれも同じ組成比の平衡に達する。したがって、この反応は典型的な可逆反応ということができる。
[戸田源治郎]
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
原系から生成系に進む正反応と同時に,生成系から原系へ戻る逆反応が進行する反応をいう.すべての化学反応には正逆両反応が存在するが,反応系が化学平衡からいちじるしく離れている場合には逆反応の速度は正反応に比べて無視でき,反応は不可逆的に進行する.反応系が化学平衡に近い系では正逆両反応の速度は接近し,反応が可逆的になるため,とくに可逆反応といわれる.酢酸とエチルアルコールから酢酸エチルを生成する反応は,可逆反応の顕著な一例である.
CH3COOH + C2H5OH CH3COOC2H5 + H2O
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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