レイリージーンズの放射法則(読み)レイリージーンズノホウシャホウソク(その他表記)Rayleigh-Jeans' radiation law

デジタル大辞泉 の解説

レイリージーンズ‐の‐ほうしゃほうそく〔‐ハウシヤハフソク〕【レイリージーンズの放射法則】

黒体からの熱放射黒体放射)に関する法則。または振動数分布を表す公式を指す。古典物理学的な仮定から導かれたもので、長波長(低振動数)側では実験データを精度よく再現できるが、短波長(高振動数)側では大きなずれが生じる。1900年に英国レイリーが発表し、1905年に同じく英国のJ=ジーンズが修正した。黒体放射のスペクトルは後にプランクが導いたプランクの放射法則により説明できるようになった。

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日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

レイリー‐ジーンズの放射法則
れいりーじーんずのほうしゃほうそく
Rayleigh-Jeans' radiation law

絶対温度Tの黒体からの放射エネルギー密度分布を示す法則の一つ。

 黒体の放射振動数がνとν+dνの間にあるときの放射エネルギー密度をρνdνとするとき、

と表される。ここでνは振動数、cは光速度、kBボルツマン定数Tは黒体の温度である。レイリーが1900年に光が電磁波であり、各電磁波がエネルギー等分配の法則に従うとして導いた。1905年にジーンズ係数の誤りを正したことから、レイリー‐ジーンズの放射法則とよばれる。放射エネルギーの長波長側(低振動数側)では実験結果とよく合うが、短波長側(高振動数側)では発散してしまう(紫外超過)。正確な絶対温度Tの黒体の放射エネルギー密度分布はプランクの放射公式で示されるが、レイリー‐ジーンズの放射法則はhν<<kBTの場合でのプランクの放射公式の近似になっている(hプランク定数)。レイリー‐ジーンズの放射法則はプランクによる量子仮説を取り入れたプランクの放射公式への橋渡しになった。

[山本将史 2022年7月21日]

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