ジーンズ(読み)じーんず(英語表記)Sir James Hopwood Jeans

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ジーンズ」の意味・わかりやすい解説

ジーンズ(Sir James Hopwood Jeans)
じーんず
Sir James Hopwood Jeans
(1877―1946)

イギリスの天文学者、数理物理学者。ランカシャーの生まれ。9歳のころ時計に熱中し、22歳でケンブリッジ大学のトリニティ・カレッジに入学、4年後数学科を卒業。以後、自宅の研究室で物理学・天文学への数学的応用に専念し、名著気体の力学的理論』(1904)を公刊した。1905~1909年プリンストン大学の応用数学教授に選任され、この間に『理論力学』(1906)と『電磁気の数理理論』(1908)を著し、王立協会の会員に推挙された。1910年母校に帰り、講師を務め、2年後退任して、研究と著述に専心した。『放射と量子論』(1914)の公刊後天文学に転向し、『宇宙進化論と恒星力学』(1919)、『天文学と宇宙進化論』(1928)はアダムズ賞の対象となった。また王立協会ほか諸学会の役員に選任され、1928年には学術勲功によりナイトに叙された。彼の物理学書はいずれも学界不朽の古典であり、とくにレイリーと共同研究の熱放射の法則は前期量子論の一業績となった。また熱力学や気体論の原理を恒星の運動論・構造論・進化論に展開し、太陽系起源に関してジェフリーズとともに潮汐(ちょうせき)説を提唱した。晩年啓蒙(けいもう)書の著述に傾注し、観念論的主張の宇宙論科学論を公刊。『神秘な宇宙』(1930)ほか数著が邦訳されている。

[島村福太郎]


ジーンズ(織物)
じーんず

ジーン

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ジーンズ」の意味・わかりやすい解説

ジーンズ
Jeans, Sir James Hopwood

[生]1877.9.11. ロンドン
[没]1946.9.16. ドーキング
イギリスの数学者,物理学者,天文学者。ケンブリッジのトリニティ・カレッジで学び,1905~09年プリンストン大学で,1904~05年および 1910~12年ケンブリッジ大学で応用数学を講じた。大学を退いてからは,ロイヤル・ソサエティの要職を占め,またアメリカ合衆国のウィルソン山天文台の研究員になるなど,研究と著述に専念した。多くの著作を通じて科学の啓蒙普及に寄与,1928年ナイトの称号を授与された。数学を天文学や物理学に適用して,渦状銀河の発達,太陽系の起源,熱放射現象などを論じ,1905年レイリー=ジーンズの放射式を導いた。また,「ジーンズ不安定性」と呼ばれる,天体の形成論に必須の自己重力による不安定性という概念を確立した。これにより,自己重力によって形成される天体の最小の大きさ(ジーンズ波長)や最小質量(ジーンズ質量)を,母体となる星間雲などの密度と温度によって計算することができる。

ジーンズ

ジーパン」のページをご覧ください。

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