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絶対温度 ぜったいおんどabsolute temperature

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

絶対温度
ぜったいおんど
absolute temperature

物質に関係なく熱力学の法則により定義された温度。単位はケルビン(記号 K。1967年まではケルビン〈°K〉)。熱力学的温度またはケルビン温度ともいう。気体の熱膨張に関するゲイ=リュサックの法則によれば,一定圧力の気体の体積は物質によらず同じ割合で温度とともに増加する。つまり温度 0℃,t℃の体積をそれぞれ V0V とすれば,VV0(1+t/273)=V0T/T0)に従う。ここで T0T は-273℃を 0度としてセ氏温度目盛りで与えられる温度(単位 K)で,T0=273K,T=(273+t)K とされた。この温度が従来の絶対温度であって,理想気体の気体温度計で与えられる。熱力学第二法則によれば絶対温度 T1T2(ただし T2T1)の間に働く可逆機関の効率は作業物質に関係なく一定値(T2T1)/T2 であることに着目し,1848年ケルビン卿(ウィリアム・トムソン)は水の融点(→融解)と沸点(→沸騰)の温度差を 100として熱力学的に絶対温度目盛りを定義するよう提案した。さらに 1854年ケルビンとジェームズ・プレスコット・ ジュールは唯一の温度の定点の値を指定すれば熱力学的に温度目盛りを決めうることを示した。これが実現されたのは 100年後の 1954年であって,第10回国際度量衡総会において,唯一の温度の定点として水の三重点の温度を 273.16Kと定め,国際単位系 SIの基本単位として温度の単位ケルビンを水の熱力学的温度の 1/273.16 とすることが決定された。水の三重点セ氏温度は 0.01℃であるから,同一温度の絶対温度 T とセ氏温度 t との関係は Tt+273.15 で与えられる。

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デジタル大辞泉の解説

ぜったい‐おんど〔‐ヲンド〕【絶対温度】

個々の物質の特性によらず、熱力学の法則から理論的に定められた温度。物質を構成する原子分子の熱による振動がすべて静止する温度を零度、水の三重点を273.16度と定義し、目盛間隔をセ氏温度と同じにとったもの。セ氏温度に273.15度を加えた値で表される。単位はケルビン、記号K 熱力学温度。ケルビン温度。

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百科事典マイペディアの解説

絶対温度【ぜったいおんど】

熱力学的に定義され,温度計物質の性質によらない温度。二つの熱源の間で物質にカルノーサイクルを行わせたとき,高熱源(温度T1)から熱量Q1を吸収し低熱源(T2)へQ2を放出したとすれば,Q1/Q2=T1/T2の関係が成立し,これから絶対温度T1,T2が定義される。
→関連項目温度温度目盛華氏温度目盛気体温度計気体分子運動論極低温ケルビン自由エネルギー断熱変化

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栄養・生化学辞典の解説

絶対温度

 ケルビン温度ともいう.熱力学的温度で,−273.16℃を0度とする.1度の幅は摂氏温度と同じ.

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世界大百科事典 第2版の解説

ぜったいおんど【絶対温度 absolute temperature】

熱力学的温度ともいい,また1848年にケルビン(W.トムソン)によって導入されたことからケルビン温度とも呼ばれる。熱力学の第1,第2法則に基づいて理想的な熱機関の効率により定義される温度。温度計によって定められる経験的温度は,使用する個々の温度計の性質に依存するが,絶対温度は普遍的な意味をもつ。絶対温度の0度,すなわち絶対零度は熱運動が完全に消滅した状態に対応する。熱力学的には絶対温度は比例定数を除いて定義される。

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大辞林 第三版の解説

ぜったいおんど【絶対温度】

個々の物質の特性に依存しない温度目盛りを理論的に定めた温度。熱力学第二法則に基づいて定める。単位はケルビン、記号 K  水の三重点を273.16 K 、熱力学的に考えられる最低温度を0 K として目盛りを決める。一気圧下の水の凝固点摂氏0度は273.15 K 、摂氏100度は373.15 K 。ケルビン温度。熱力学温度。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

絶対温度
ぜったいおんど

気体の熱膨張を表すシャルルの法則(ゲイ・リュサックの法則)に基づいて決められた温度。シャルルの法則での温度は、水の沸騰時の理想気体の体積と水の凝固点の温度での理想気体の体積の比が273:373となるようにV0T0を決め、

の関係を用いて体積から決められる(Vは体積、Tは時間)。摂氏(せっし)温度は水の凝固点の温度を0℃とするため、絶対温度と摂氏温度との間には
  (絶対温度)=(摂氏温度)+273
   (正確には273.15)
の関係がある。以前は絶対温度を表すのに「」の記号を用いていたが、現在では単にKの記号を使うのが慣習となっている。たとえば、27℃を絶対温度で表すと300Kとなる。
 より基本的に説明すると、熱力学的温度とよばれるものがある。熱力学第二法則を用いると、二つの熱源を利用して仕事をとり出す場合、高熱源からとり出した熱を仕事に変えることができる割合(仕事効率とよばれる)には、上限がある。その値η(T1,T2)から温度を決めることができる。そのようにして決まる温度が熱力学的温度とよばれ、個別の物質の資質とは独立して決まるものである。そのなかで、

として決めた温度は、気体温度計の温度と比例することがわかり、比例係数を1としたものが通常の熱力学的温度として用いられる。つまり、前述の式で決めた絶対温度が熱力学的温度として採用されている。この温度は、カルノー・サイクルの研究を通じて、1848年、イギリスの物理学者L・ケルビンにより考案されたことから、ケルビン温度ともよばれる。ちなみに、絶対温度を表すKの記号は、ケルビンの頭文字をとったものである。[宮下精二]

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世界大百科事典内の絶対温度の言及

【温度】より

…また19世紀初めごろまでにJ.L.ゲイ・リュサック,J.ドルトンらは,多くの気体の熱膨張係数がすべて同じ値であることを確かめ,以前からG.アモントン,W.アービンらが推測していた温度の下限,すなわち気体から熱が完全に奪われて圧力が0になる温度の値が摂氏でおよそ-270度であると主張した。このころから熱学は急速に発展し,19世紀後半に熱力学の第1法則,第2法則が認識されるに至って,温度は熱と区別された明確な概念となり,同時に普遍的な意味をもつ絶対温度の基礎も与えられた。さらに20世紀にかけて発展した気体分子運動論,統計力学により,熱現象を原子,分子の運動に基づいて理解することが可能となり,温度の意味もこのレベルで明らかになった。…

【ケルビン】より

…温度の単位。厳密には熱力学温度(絶対温度ともいう)の単位。記号はK。…

※「絶対温度」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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