運動器の障害により歩行や立位の保持などの移動機能が低下し、進行すると要介護や寝たきりになるリスクが高まる状態。2007年(平成19)に日本整形外科学会が提唱した概念である。ロコモティブシンドロームあるいは運動器症候群ともいう。単に「ロコモ」と略すこともある。ロコモティブは「運動の」という意味である。
運動器は運動器官あるいは運動装置ともよばれ、骨や関節および筋肉や神経などで構成され、手足などを動かす運動を生み出している。複数の骨が関節を構成し、骨には腱(けん)に支えられて骨格を動かす骨格筋、関節には収縮と弛緩(しかん)を生み出す2種類の拮抗(きっこう)する筋肉(拮抗筋)がつき、関節の伸展や屈曲を生み出している。加齢に伴い、こうした運動器の働きが低下して動作も緩慢となり、歩行やバランス保持などにも支障をきたすようになる。
日本整形外科学会ではロコモに陥らないよう、自分の状態を知るツールとして「ロコチェック(ロコモーションチェック)」と、ロコモ対策としての運動「ロコトレ(ロコモーショントレーニング)」のパンフレットを作成し、きめ細かく注意を喚起している。「ロコチェック」では、片脚立ちで靴下がはけない、階段を上がるのに手すりが必要である、15分くらい続けて歩くことができないなど七つのチェック項目をあげ、これらに該当する場合は生活習慣を見直し、同時に運動習慣を身につけることなどが必要としている。また立ち上がりテスト(脚力)、2ステップテスト(歩幅)、ロコモ25(25項目の身体の状態、生活状況チェック)の三つのテストで構成される「ロコモ度テスト」によって、同年代の平均値と比較し現在の状況をチェックするよう促している。
[編集部]
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