改訂新版 世界大百科事典 「ロンゲーナ」の意味・わかりやすい解説
ロンゲーナ
Baldassare Longhena
生没年:1596か99-1682
バロック期のベネチアで活躍したイタリアの建築家。スカモッツィに学んだが,師の定式化された無味な作風とは対照的に,豊潤な彫刻装飾をもつ彫りの深いファサードと変化に富む内部空間の造形を,さまざまな建築類型に応用した。サン・ジョルジョ修道院の階段室では劇的な視覚効果を,代表作サンタ・マリア・デラ・サルーテ教会では運河の河口を経てパラディオ作のサン・ジョルジョ・マッジョーレ教会と呼応する遠大な景観手法を成功させた。スカモッツィを引き継いでベネチアの新行政館を仕上げ,これによってサン・マルコ広場周囲の建築群は一応の完成をみた。住宅建築の代表作に,ベネチアの大運河に面するパラッツォ・ペーザロがある。
執筆者:日高 健一郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報