ロンゲーナ(英語表記)Baldassare Longhena

改訂新版 世界大百科事典 「ロンゲーナ」の意味・わかりやすい解説

ロンゲーナ
Baldassare Longhena
生没年:1596か99-1682

バロック期のベネチアで活躍したイタリア建築家スカモッツィに学んだが,師の定式化された無味作風とは対照的に,豊潤な彫刻装飾をもつ彫りの深いファサードと変化に富む内部空間の造形を,さまざまな建築類型に応用した。サン・ジョルジョ修道院の階段室では劇的な視覚効果を,代表作サンタ・マリア・デラ・サルーテ教会では運河河口を経てパラディオ作のサン・ジョルジョ・マッジョーレ教会と呼応する遠大な景観手法を成功させた。スカモッツィを引き継いでベネチアの新行政館を仕上げ,これによってサン・マルコ広場周囲の建築群は一応の完成をみた。住宅建築の代表作に,ベネチアの大運河に面するパラッツォ・ペーザロがある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ロンゲーナ」の意味・わかりやすい解説

ロンゲーナ
ろんげーな
Baldassare Longhena
(1598―1682)

イタリアの建築家。ベネチアに生まれ、ビンチェンツォ・スカモッツィに師事し、やがて同地のバロック建築を主導する存在となった。もっとも著名な設計は、1631年に起工、1687年に献堂されたサンタ・マリア・デッラ・サルーテ聖堂である。八角形長方形の結合した平面プランの建築の上に、大小二つの丸屋根が架せられ、港湾都市ベネチアの景観にふさわしい華麗さを示している。そのほか有名なものにキオッジア大聖堂(1633起工)、ベネチアのパラッツォ・ペーザロ(1676~1710)などがある。

[濱谷勝也]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ロンゲーナ」の意味・わかりやすい解説

ロンゲーナ
Longhena, Baldassare

[生]1598. ベネチア
[没]1682.2.18. ベネチア
イタリアの建築家。 V.スカモッツィに師事。ベネチアの盛期バロックの代表的建築家。代表作はベネチアのサンタ・マリア・デラ・サルーテ聖堂 (1631起工,87献堂) ,サンタ・マリア・デリ・スカルツィ聖堂 (56起工) ,パラッツォ・ペサロ (52/9~1710) など。

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