日本大百科全書(ニッポニカ) 「スカモッツィ」の意味・わかりやすい解説
スカモッツィ
すかもっつぃ
Vincenzo Scamozzi
(1552―1616)
イタリアの建築家、理論家。ビチェンツァに生まれる。同地でセバスティアーノ・セルリオ著『建築論』の編者であった父の薫陶を受けたのち、1572年ベネチアに移り住む。彼の作風は、セルリオ、サンソビーノ、パッラディオの作品研究によって形成された。ことにパッラディオを崇拝し、主要作品のすべてにその影響がみられるだけでなく、その死後、彼の代表作テアトロ・オリンピコ(オリンピコ座)、ビラ・ロトンダ(ロトンダ館)を完成させている。78~81年ローマに赴き古代の遺跡を研究、1599~1600年にはヨーロッパ各地を旅行、ゴシック建築などに関する興味深い記述を残している。04年ザルツブルク大司教の招請を受け、同地の大聖堂と大司教館の設計に携わる。代表作にビチェンツァのパラッツォ・トリッシーノがあげられる。主著『一般建築学』(1615)はヨーロッパ各国語に訳出され、作品を通じてよりも、むしろ大きな影響を及ぼした。
[三好 徹]