ロンドン盆地(読み)ロンドンぼんち(その他表記)London Basin

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ロンドン盆地」の意味・わかりやすい解説

ロンドン盆地
ロンドンぼんち
London Basin

イギリスイングランド南東部,ロンドン周辺に発達した向斜構造の盆地北西チルターン丘陵,南はノースダウンズ丘陵にかぎられ,東の北海に向かってわずかに傾斜する東西に長い低地で,テムズ川下流域にほぼ相当するためローワーテムズ盆地とも呼ばれる。古第三紀暁新世中期に海進を受けた白亜紀層の上に堆積した始新世海成層(下部ロンドン古第三紀層,ロンドン粘土層,バグショット砂層)が,始新世後期に陸化したのち,アルプス造山運動期に撓曲作用を受けて形成されたものである。その後鮮新世から第四紀にかけて砂や砂礫が一部に堆積して低い台地をつくるとともに,氷河南進によって北部は広く漂礫土に覆われた。テムズ川は今日より北寄りを流れていたが,氷河によって南方へ押しやられ,この過程で多くの段丘が形成された。これらの段丘はその後テムズ川水系によって大部分が浸食されてしまったが,一部に残存し,今日のテムズ川の北岸に沿って延びる標高約 15mのタプロー段丘にロンドンの中心部をなすロンドン市(シティ)などが立地する。

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世界大百科事典(旧版)内のロンドン盆地の言及

【イギリス】より

…(9)イングランド・ケスタ地帯 イングランド南東部では中生代のジュラ紀,白亜紀の地層が卓越する。そのうちチルターン丘陵,ウィールド丘陵などの石灰岩や白亜層の部分は急斜面を,ロンドン盆地やテムズ川上流地域などの粘土質の部分は河谷を形成し,典型的なケスタ地形の発達をみる。(10)イングランド東部平野 ケスタ地帯の延長部ではあるが,氷食を受けて波状地となったイースト・アングリア地域と,ウォッシュ湾岸の沖積平野で泥炭(ピート)とシルトでおおわれるフェンランド地域からなる。…

※「ロンドン盆地」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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