日本大百科全書(ニッポニカ) 「ローハイム」の意味・わかりやすい解説
ローハイム
ろーはいむ
Géza Róheim
(1891―1953)
ハンガリー生まれの人類学者。ライプツィヒ、ベルリン両大学で地理学、民族学を学んだのち、フェレンツィ、コバツVilma Kovács(1883―1940)に分析心理学を学び、1919年にブダペスト大学の初代人類学教授となった。1928~1931年にソマリア、オーストラリア(アランダ)、メラネシア(ノーマンビー)、北アメリカ南西部(ユマ)を調査した。1938年にアメリカ合衆国に亡命し、1947年にはナバホ語使用者の社会を調査した。フロイト心理学の民族学的側面に注目し、精神分析と民族学の境界領域を研究した。内容的には第一次世界大戦前のイギリス人類学にやや近く、主著に『精神分析と人類学』(1950)がある。
[佐々木明 2019年1月21日]
『小田晋・黒田信一郎訳『精神分析と人類学』上下(1980・思索社)』