日本大百科全書(ニッポニカ) 「アランダ」の意味・わかりやすい解説
アランダ
あらんだ
Aranda
オーストラリア先住民の一民族集団。アルンタAruntaともいう。大陸中央部のマクドネル山脈南東の山裾(やますそ)からフィンク川に沿った、半乾燥だが水に恵まれたかなり広い地域に居住。オーストラリア先住民の常として、採集狩猟民としての移動生活を行っていたが、現在は地方都市の周辺で定住生活を営む。全体は五つの亜部族に分かれ、おのおのは異なる方言を用いる。これらの亜部族は、さらに内部でそれぞれのトーテムをもつセクションに分かれ、四分制ないしは八分制の婚姻システムを有する。アランダの人々の婚姻システムおよびトーテミズムは、19世紀の終わりごろより人類学者の注目を浴び、繰り返し議論の対象となってきた。彼らの道具類には比較的豊かな装飾が施されており、なかでも楕円(だえん)形の板ないし石板に刻紋や彩色を施した、トーテム・シンボルとしての聖物であるチュリンガは、同様に人類学者の議論により有名となっている。減少傾向にあった人口も1960年ごろから回復しつつある。
[山本真鳥]