ワルシャワ条約(読み)ワルシャワじょうやく(英語表記)Warsaw Treaty

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ワルシャワ条約」の意味・わかりやすい解説

ワルシャワ条約
ワルシャワじょうやく
Warsaw Treaty

1955年5月 14日ポーランドワルシャワで調印されたアルバニアブルガリアハンガリー東ドイツ,ポーランド,ルーマニアソ連およびチェコスロバキアの間の友好,協力および相互援助条約。 68年にはアルバニアが脱退西ドイツの再軍備とその北大西洋条約機構 NATOへの加入を直接の動機としてソ連が東ヨーロッパ諸国との団結強化のために結ばれ,55年6月6日に発効した。この条約は前文と本文 11ヵ条から成る。第4条で各締約国は国連憲章第 51条に従い,自衛権の行使として,攻撃を受けた国に対し即時援助を与えると武力攻撃に対する共同防衛を規定している。この条約に基づいて締約国の軍隊を指揮下におく東ヨーロッパ統一軍が設けられた。 68年8月チェコスロバキアにおける民主化運動の波及を懸念,ソ連のイニシアチブで東ドイツ,ハンガリーなど5ヵ国軍が共同でチェコスロバキアに軍事介入し,民主化運動を武力で弾圧。 89年の東欧諸国における民主化革命で共産党政権が相次いで崩壊した結果,同条約機構の存在理由がなくなり,全加盟国の合意により 91年7月1日すべての政治・軍事機構が廃止・解体された。

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