アジアハイウェー(英語表記)Asian Highway

改訂新版 世界大百科事典 「アジアハイウェー」の意味・わかりやすい解説

アジア・ハイウェー
Asian Highway

計画延長42路線9万kmのアジアの国際道路網。うち5路線4万kmが国際幹線,37路線5万kmが地域幹線で通過国は25ヵ国である。1959年以来アジア極東経済委員会(ECAFE。のちのESCAP(エスキヤツプ))が中心となり,国連開発計画(UNDP)の資金援助を得てその推進を図った。イラン等の中東3ヵ国,インド等の南アジア4ヵ国,インドネシア等の東南アジア8ヵ国と,新たに参加した中国,モンゴルミャンマーの計18ヵ国を結ぶ。A1号,A2号という東西を貫く二大幹線を軸にした42路線からなり,古代シルクロードの現代版とも言える。その整備に当たっては,各首都をつなぐ路線,主要な産業中心地への路線,主要港湾やコンテナーターミナル等への路線,ヨーロッパ国際道路への接続などに重点が置かれている。現在A1号,A2号の8割以上が2車線の舗装道路として整備されているが,通行困難区間も残り,とくにミャンマー横断部分の見通しが立たなかったために,まだ東西の貫通は実現していない。国連の援助が打ち切られて,整備は一時停滞したが,1990年代に再活性化の時代にはいった。将来東西南北の格子状のネットワークへの再編成が構想されている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アジアハイウェー」の意味・わかりやすい解説

アジアハイウェー
Asian Highway

トルコからインドネシアまでアジア大陸 14ヵ国を横断する総延長6万 5000kmに及ぶ国際道路計画。 1958年に国連のアジア太平洋経済社会委員会 ECAFE (現 ESCAP) 内陸運輸通信委員会がアジア地域の経済開発の手段として打出し,59年の総会で承認されたもので,関係諸国間において計画検討が進められている。全道路網として,西はイラン,トルコ,イラク国境に端を発し,アフガニスタンパキスタン,インド,ネパール,バングラデシュ,ミャンマーを経てタイにいたり,東向してラオスカンボジア,ベトナムにいたるものと,南下してマレー半島を通り,シンガポールで海を渡ってインドネシアにいたるもの,インドから南下してスリランカにいたるルートなどから成っている。このうちベトナムからトルコにいたる1号線と,インドネシアからイラクにいたる2号線が完成。国家間の紛争が絶えず,本格的な計画検討が長く中断されていたが,92年から再び建設の気運が盛上がってきた。

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