《Tom beau des Askia》マリ東部の都市ガオにある遺跡。高さ17メートルのピラミッド状の墓は、15世紀から16世紀に金と塩の交易で栄えたソンガイ帝国の初代皇帝アスキア=ムハンマド1世の墓といわれる。付近一帯には、ほかにモスクや野外集会場などが残る。2004年、世界遺産(文化遺産)に登録された。2012年、地域紛争による破壊などを理由に危機遺産に登録。アスキアの墓。
2004年に登録されたマリ共和国の世界遺産(文化遺産)だが、2012年に危機遺産リストに登録された。西アフリカのマリ共和国の北部トンブクトゥの東300kmのガオ地方に位置する。この遺跡には、2つのモスクと付属の公共墓地などが含まれており、なかでも高さ17mに及ぶピラミッド状の墓は、「土着の伝統建築様式」を特徴としている。また、この遺跡は、15世紀半ばから16世紀にニジェール川湾曲部を中心に栄えたソンガイ帝国(ガオ帝国とも呼ばれる)の皇帝、アスキア・モハメド王が建てた墓地である。このような重要な遺跡であることが評価され、世界遺産に登録された。しかし2012年1月、トゥアレグ族がマリ共和国からの独立を求め、トゥアレグ抵抗運動を起こし、マリ北部を制圧するマリ北部紛争が勃発。トゥアレグ族の組織「アンサル・ディーン」が北部3州(アザワド)を制圧し、アザワド国の独立を宣言。世界遺産委員会は、周辺国にアスキア墳墓の文化財が流出しないように監視を要請し、世界的な支援策を図っているが、アンサル・ディーンはさらなる破壊も予告しており、危機からの脱出は難しく、危機遺産リストに登録された。◇英名はTomb of Askia