アヤメ科(読み)あやめか

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アヤメ科」の意味・わかりやすい解説

アヤメ科
あやめか
[学] Iridaceae

単子葉植物多年草で、ごくまれに一年草もある。ほとんどが地中植物で、根茎、塊茎または球茎がある。花は両性、同花被(かひ)、放射相称または左右相称、3数性である。雄しべは3本、子房下位。雄しべ6本、子房上位を特徴とするユリ科から由来したと考えられる。80属約1500種があり、全世界に分布するが、半数以上は南アフリカ産である。日本にはアヤメ属7種、ヒオウギ属1種が自生する。おもな区分は次のとおり。

[清水建美 2019年5月21日]

 APG分類でもアヤメ科である。日本にはアヤメ属8種が原産する。

[編集部 2019年5月21日]

ニワゼキショウ連

根茎植物。花冠は放射相称で深裂、花被片は同形、花柱の枝は糸状。ニワゼキショウ属、ヒオウギ属を含む。

[清水建美 2019年5月21日]

アヤメ連

根茎または球茎植物。花冠は放射相称で深裂、花被片は異形、花柱の枝は花弁状。アヤメ属、モラエア属を含む。

[清水建美 2019年5月21日]

グラジオラス連

球茎植物。花冠は左右相称で浅裂、花筒が明瞭(めいりょう)。花柱の枝は糸状。グラジオラス属、ヒオウギズイセン属を含む。

[清水建美 2019年5月21日]

クロッカス連

球茎植物。花は単生。花冠は放射相称、花筒は細長い。花柱の枝は糸状。クロッカス属、ロムレア属を含む。

[清水建美 2019年5月21日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アヤメ科」の意味・わかりやすい解説

アヤメ科
アヤメか
Iridaceae

単子葉植物の1科。科として分化の中心は南アフリカと熱帯アメリカにあり,これらの地域を中心として,熱帯,亜熱帯に約 60属 800種が知られる。しかし種数では全体の 40%にあたる 300種あまりがアヤメ属 Irisに属し,このほとんどは北半球温帯,特に中央アジアから西アジアに多い (→アイリス ) 。アヤメ科の植物はほとんどが多年生の草本で,地下に短い根茎や球根をもち,葉は細い剣状や線状で縦に2列に並ぶのが普通である。花は3枚ずつの内・外花被片をもち,特に外花被片が花弁状に発達するものが多い (アヤメ属など) 。しかしクロッカス属 Crocusやニワゼキショウ属 Sisyrinchiumでは6枚が同形同大である。おしべは3本だけでこの点がユリ科,ヒガンバナ科と大きく異なる。子房は下位で3室に分れ,中軸胎座で 蒴果となる。 (→ハナショウブ〈花菖蒲〉 )

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