プラズマ中に外部磁場が存在するとき、磁場に垂直方向に振動しつつ磁場に沿って進行する横波。スウェーデンの物理学者アルベーンが発見したのでこうよばれるが、彼自身はこれを磁気流体波と名づけた。荷電粒子(イオン、電子)の集まった粒子系、つまり、プラズマは第四の物質状態とよばれ、いろいろな波が存在する。アルベーン波は、紐(ひも)を振動させたときにおこる波と同じで、磁力線が紐の役割を果たしており、紐の張力Sのかわりに磁気的張力B2/μ(Bは磁束密度)を用い、密度ρのプラズマとすると、波の伝播(でんぱ)速度は、
と表される。μは透磁率である。アルベーン波は、太陽の黒点の活動や地球磁気圏での電磁波放射で重要な役割を演じている。たとえば、磁気嵐(あらし)のおこったとき、0.1~1000秒の周期の磁場変動が観測されており、これは、波長が数百キロメートル、伝播速度が秒速1000キロメートルにも達するアルベーン波によるものと考えられている。
[池内 了]
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…これはパーカーの熱膨張風理論では説明がつかず,問題を投げかけた。これを説明するためにコロナの明るいところ,すなわち,黒点活動域周辺では磁力線は閉じていてプラズマを逃がさないのに対し,コロナ・ホールの部分の磁力線は上空に向かって開いており,この開きぐあいによって太陽風の加速が強まるという理論が提出されたが,これも吹き出すべき高温プラズマの圧力が十分でない場合は困り,むしろ単純熱膨張風でない,例えばアルベーン波Alfvén wave(磁場をもつプラズマ中を伝わる低周波の一種。この波では振動は磁場の向きと直角方向で,その速度vは,Bを磁場の強さ,ρを密度とすると,である)などによる別の加速機構が働いているのではないかと考えられている。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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