アンボン

百科事典マイペディア 「アンボン」の意味・わかりやすい解説

アンボン[島]【アンボン】

インドネシア東部,セラム島南西に接する島で,マルク州に属する。アンボイナ島とも。住民はパプア系とマレー系の混血したアンボン人が主で,オランダによる支配の確立(17世紀)後キリスト教徒になって植民地軍に多く加わったことで知られる。古代から香料,特にチョウジの産地として著名で,その独占権をめぐる英国とオランダの争いは1623年アンボン事件に発展,日本人傭兵も巻き込まれた。インドネシア独立の際にジャワ中心のインドネシア共和国への編入を拒否し,1950年以後,南マルク共和国の分離独立運動を起こした。現在もキリスト教徒が多い。主都アンボンは良港でインドネシア海軍基地,人口8万人。816km2。主都アンボンで1999年にキリスト教徒がイスラム教徒を襲う事件が起こり,その後マルク(モルッカ)諸島全域に報復合戦が広がっている。
→関連項目インドネシアモルッカ[諸島]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アンボン」の意味・わかりやすい解説

アンボン
Ambon

旧称アンボイナ Amboina。インドネシア,マルク (モルッカ) 諸島中部の港市。マルク州の州都。セラム島南西方にあるアンボン島の南岸に位置し,バンダ海にのぞむ。年平均気温 26.7℃,月降水量 114mm (11月) ~638mm (6月) 。チョウジの産地であるセラム島,アンボン島を控えた港町として,中世にはイスラム商人による香料貿易の中心地として繁栄。 1512年ポルトガル人が侵入して以来,ヨーロッパ列強の争奪の的とされたが,アンボイナ事件ののちオランダが支配権を握った。住民の大部分はメラネシア人キリスト教徒で,インドネシア独立に際しては,南マルク共和国として分離を要求したり,オランダ軍に加わったりした者も多い。港はチョウジ,米,コーヒー,砂糖などを積出し,カツオ,マグロなどの大型漁船の基地となっている。人口 31万 3100 (1995推計) 。

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世界大百科事典(旧版)内のアンボンの言及

【アンボン[島]】より

…火山性で最高点はサルフートゥー山(1340m)。住民はマレー系とパプア系の混血したアンボン族で,肌色は黒く,毛髪は縮れている。小島ではあるが古くからチョウジ,ニクズクなどの香料産地として知られ,そのうえ戦略的要点にも当たる。…

【アンボン事件】より

…インドネシア東部バンダ海の小島アンボンで1623年2~3月に起こったオランダ,イギリス両国商館間の紛争。2月末にイギリス商館の日本人傭兵がオランダ商館の様子を調べているのに不審を抱いたオランダ商館長は,イギリスの商館長以下全員を捕らえて拷問を加えた。…

※「アンボン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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