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イグノーベル賞 いぐのーべるしょう Ig Nobel prize

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知恵蔵2015の解説

イグノーベル賞

ノーベル賞のパロディとして、世界中のさまざまな分野の研究の中から「人々を笑わせ、そして考えさせる業績」に対して贈られる賞。「イグノーベル(Ig Nobel)」とは、ノーベル賞創設者アルフレッド・ノーベルの姓に否定的な接頭辞「Ig」をつけた造語で、下等な、下品な、見下げたという意味の「ignoble」を掛けたジョークである。
イグノーベル賞は、イスラエルで発刊された科学ユーモア雑誌「ジャーナル・オブ・イレプロデューシブル・リザルト(再製不能な結果ジャーナル)」誌の編集者であったマーク・エイブラハムズが1991年に創設した。賞の主宰は95年からはエイブラハムズ自身が立ち上げた「アナルズ・オブ・インプローバブル・リサーチ(ユーモア科学研究ジャーナル)」誌に引き継がれ、ハーバード・コンピューター協会、ハーバード・ラドクリフ物理学生協会、ハーバード・ラドクリフSF協会が協賛し、現在に至っている。
ノーベル賞と同じ、物理学、化学、平和、経済学、医学生理学、文学のカテゴリーの他、公衆衛生学賞、心理学賞、昆虫学賞など本家ノーベル賞には無いカテゴリーも随時追加されている。毎年10組に贈られるが、受賞の内容は非常に真面目な研究も多いかたわら、とんちんかんなものや、時には、水爆の発明者でありスターウォーズ計画を提唱したエドワードテラーが「一般とはまったく違った意味を『平和』に与えた業績を称えて」91年度のイグノーベル平和賞を授与されたといった強烈な皮肉も含まれている。真面目な研究者の中には、受賞を喜ばない者も少なくない
ユーモアと笑いにあふれる授賞式は毎年10月に、ハーバード大学のサンダーズ・シアターで行われる。受賞者の出席費用はすべて自費で、スピーチでは必ず聴衆を笑わせなければならない。しかも、スピーチが長くなるとミス・スウィーティー・プーと呼ばれる進行役の少女が「やめて、飽き飽きするわ!」などと叫んで邪魔しようとする。聴衆はステージに向かって紙飛行機を投げ続け、ハーバード大学教授で物理学者のロイ・グラウバー(2005年のノーベル物理学賞受賞者)が紙飛行機の掃除を担当している。
日本人の受賞者は2009年までに14組にのぼり、1997年にはバンダイ株式会社の「たまごっち」開発者が経済学賞を、2002年にはタカラの「バウリンガル」開発者が平和賞を、04年には「カラオケ」の発明者が同じく平和賞を受賞している。
09年度は、英国のニューカッスル大の研究者たちが「名前をつけた牛はそうでない牛よりミルクをたくさん出すことを発見」して獣医学賞、スイスベルン大の研究者たちが「中身が一杯のビール瓶もしくは空のビール瓶のどちらが頭をたたきつぶすのに適しているかという研究」で平和賞、米国のエレナ・ボドナー氏その他が「緊急時にはガスマスクとして使えるブラジャー」の開発で公衆衛生賞、日本の田口文章氏その他北里大学大学院の研究者が「ジャイアントパンダの排泄物から生ゴミを90%以上削減できる細菌を抽出した」ことで生物学賞など、10組のユニークな受賞者が誕生した。

(椎崎亮子  フリーライター / 2009年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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デジタル大辞泉の解説

イグノーベル‐しょう〔‐シヤウ〕【イグノーベル賞】

Ig Nobel Prizesノーベル賞パロディーとして、米国で1991年に創設された賞。毎年、生物学、化学、数学、文学、平和などの分野において、「人々を笑わせ、考えさせる研究」に対して授与される。
[補説]名称は、Nobel Prizes(ノーベル賞)に否定の接頭辞igをつけたもの。ignoble(「卑しい、粗悪な」の意)にも掛けている。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

イグノーベル賞
いぐのーべるしょう
Ig Nobel Prize

ノーベル賞のパロディとして1991年に創設された、世界中の独創性に富んださまざまな研究や発明などに対して贈られる賞。イグノーベルIg Nobelという名称は、ノーベル賞と英語の「ignoble(あさましい、不名誉の)」を組み合わせたもの。接頭語としてのigには否定的な意味があり、「裏ノーベル賞」ともいわれる。毎年秋、ノーベル賞の発表と同じころに、ハーバード大学のサンダーズシアターで表彰式が行われる。ユーモアやオリジナリティーに富んだ各賞は、ノーベル賞と同様に、物理学、化学、平和、経済学、医学、文学など、毎年10組前後が選出される。賞金はなく、ユーモラスな賞品が授与される。時に、異例の範疇(はんちゅう)を設けたり、「水爆の父」とされるエドワード・テラーに平和賞を贈るなど、非難めいた強い皮肉を込めて選出するケースもある。「人々を笑わせ、そして次に考えさせる業績」という選考基準を重視しており、それゆえに受賞者の反発を招く場合もあるが、表彰に独特の存在価値をみいだす者が多いことも事実である。
 1991年にイスラエルの科学関係雑誌『The Journal of Irreproducible Results(再現不能な結果ジャーナル)』の編集者エイブラハムズMarc Abrahamsによって創設された。1995年からは、アメリカでエイブラハム自身により創刊された『The Annals of Improbable Research(ありそうもない研究年報)』の主催となり、ハーバード・コンピュータ協会、ハーバード・ラドクリフSF協会などが表彰式の共同スポンサーになっている。
 1992年(平成4)の医学賞(足のにおいの原因物質を特定した資生堂の研究者)を皮切りに、1997年の経済学賞(バンダイの仮想ペット「たまごっち」開発者)、2002年(平成14)の平和賞(タカラのイヌ語翻訳機「バウリンガル」開発者)、2004年の平和賞(カラオケ発明者)など、日本人も多数受賞している。2013年には化学賞(タマネギの成分が目を刺激して涙が出る仕組みを解明したハウス食品などの研究者)と医学賞(心臓移植マウスにオペラを聴かせると長生きするという研究を行った帝京大学などの研究者)でダブル受賞となり、日本人の受賞者は延べ19組となった。[編集部]

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