イスラム諸国の連帯強化や、独立を守るイスラム教徒の闘争支援を目的とする組織。1971年5月の創設で、56カ国とパレスチナが加盟。首脳会議は通常3年に1度開かれ、イスラム世界の重大問題を討議する。2011年、正式名称を「イスラム諸国会議機構」から「イスラム協力機構」に変更した。事務局の所在地はエルサレム解放までサウジアラビア西部ジッダ。(イスタンブール共同)
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イスラム諸国の連帯強化やイスラム教徒の独立闘争支援を目的とする国際機関。1969年にエルサレムで起きたイスラム教の聖地アル・アクサ・モスク襲撃事件を機に、聖地エルサレムのイスラエルからの奪還などを掲げて1971年に創設された。略称OIC。創設時はイスラム諸国会議機構(Organization of the Islamic Conference)という名称であったが、2011年に改称。2015年4月時点で、中東、アジア、アフリカなどのイスラム諸国57か国(パレスチナを含む)が加盟している。国際連合に対する常任代表をもち、イスラム諸国の声を代表する存在である。常設事務局をサウジアラビアのジッダに置く。事務局を代表する事務局長職があり、初代事務局長はマレーシア初代首相のラーマン。ほぼ3年に1度、最高意思決定機関であるイスラム協力機構首脳級会議を開くほか、毎年、外務大臣級会合を開催し、イスラム社会にとっての重要議題について討議している。
中東戦争やボスニア・ヘルツェゴビナ紛争などで、イスラム教徒やイスラム教国を強硬に支持する姿勢をとったが、政治的にかならずしも一枚岩ではなく、旧ソビエト連邦のアフガニスタン侵攻やイラン・イラク戦争時には、加盟国間の利害の対立で共同歩調をとることができなかった。経済活動では、イスラム諸国内の経済協力や自由貿易を推進する立場をとっており、域内自由貿易協定(FTA)の締結を目ざしている。アフリカの最貧国などとの経済格差の是正を掲げ、イスラム金融などを活用した開発援助などを支援している。付属機関として、イスラム開発銀行(Islamic Development Bank:IDB、本部ジッダ)やイスラム歴史・芸術・文化研究センター(IRCICA、本部イスタンブール)などがある。アラビア文字による書道などイスラム文化の振興に積極的なほか、イスラム法(シャリーア)に適した食品や医薬品であることを示すハラールの国際標準制定にも取り組んでいる。
[矢野 武 2015年8月19日]
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