ハラール(読み)はらーる(その他表記)alāl アラビア語

デジタル大辞泉 「ハラール」の意味・読み・例文・類語

ハラール(Harar)

エチオピア東部、エチオピア高原の東に位置するハラリ州の州都。7世紀にイスラム教徒により建設。アダル王国時代に交易拠点として栄えた。旧市街はジャゴルと呼ばれる城壁に囲まれており、多数のモスクがある。2006年「ハラールジャゴル要塞歴史都市」の名で世界遺産(文化遺産)に登録された。フランスの詩人ランボーが一時期滞在していた。ハラールコーヒー産地として有名。皇帝ハイレセラシエ生地ハラル

ハラール(〈アラビア〉Ḥalāl)

アラビア語で「許された」の意。「ハラル」とも》イスラム教教義に従っていると判断されるもの。特に、必要な作法どおりに調製された食品をいう。「ハラールミート」「ハラール食品」→ハラーム

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共同通信ニュース用語解説 「ハラール」の解説

ハラール

イスラム法で合法とされる食事やサービス。イスラム教が摂取を禁止している豚肉やアルコールなどを含まず、祈りをささげたり、血抜きをしたりする厳格なルールに従って処理・加工された食品をハラール食品という。イスラム教徒の多い国では、ハラールと認められた食品に政府や宗教団体が認証を与える制度があり、日本でもNPO法人などが認証している。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハラール」の意味・わかりやすい解説

ハラール
はらーる
alāl アラビア語

「イスラム法(シャリーア)で認められたこと(もの)」を意味するアラビア語。おもにイスラム法上で許される食べ物をさす。逆に「許されないもの」として禁止されていること(もの)をハラームarām、中間にあたる「疑わしいもの」は、シュブハShubuhaという。イスラム法は儀礼、食事の内容や作法、結婚や離婚、遺産相続、身だしなみ、金融など、生活全般の規準を定めており、イスラム教徒はこの規準にのっとって生活を営む。ハラールは清浄で安心できるものごとであり、賭博(とばく)や金融に際して利子をとること、姦通(かんつう)などはハラームに分類され、不浄で害になる非合法なものと規定されている。また、シュブハに該当するものは、避けるべきであると教えられる。

 イスラム教徒が食べることを許される食品は、規律に沿って屠畜(とちく)されたウシやヒツジ、ヤギなどの動物、野菜や果物、穀類、海産物、乳製品と卵、水などである。飲食が禁じられているものは、ナジス(不浄)とされるブタやイヌ、アルコールを含む飲料や食品、牙(きば)やかぎ爪で獲物をとるトラ、クマ、タカ、フクロウなどの動物、毒性のある動物や害虫、ノミやシラミ、ナジスを餌とする動物などである。イスラム圏に輸出される食品や菓子、化学製品などについては、イスラム教徒が摂取できるかどうかの審査(ハラール認証)を行う認証団体が各国にあり、ここで認証されたものは、ハラール食品やハラール製品などとよばれる。

[編集部]


ハラール(青歯王)
はらーる
Harald Gormssøn, Blåtand
(?―985/988)

デンマーク王(在位950ころ~985/988)。青歯王はあだ名。ユトランド半島中部のイェーリングを本拠地に、父ゴーム老王Gorm den Gamleの死(950ころ)後デンマーク全域を支配した最初の王とされ、さらにノルウェーの王位継承争いに干渉してその南部地域も支配下に置いた(960ころ)。また、同じころデンマークの民をキリスト教に改宗させ、これらの事績を記念して、自ら北欧最大のルーン石碑をイェーリングに建てた。973年オットー1世(大帝)の死を契機にドイツを攻撃したが敗れ、翌年オットー2世に越境され、アイダー川付近に砦(とりで)を構築された。のちにこれを破壊し、当時の主要交易地ヘズビューのあるシュレスウィヒ地方を奪還した(983)。息子スベン(双髯(そうぜん)王、在位985ころ~1014)の反乱で王位を追われ、オーデル川河口に自ら建設したとされる要塞(ようさい)ヨムスボーに逃れたが、戦傷がもとでその地で没した。遺体は、自ら建立したロスキール教会に運ばれて埋葬された。

[荒川明久]

『J・シンプソン著、早野勝己訳『ヴァイキングの世界』(1982・東京書籍)』

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改訂新版 世界大百科事典 「ハラール」の意味・わかりやすい解説

ハラール
Harar

エチオピア東部高原の中心都市で,エチオピアにおけるイスラム勢力の中心地でもある。人口10万5000(2002)。16世紀中頃,西部のエチオピア高原を中心とするエチオピア帝国と対抗関係にあり,その侵入を防ぐために円形の城壁で町をすっぽりと囲んだために,そのなかだけがイスラム都市風に複雑に発達した。現在では新市街もできているが,いまだに城壁外のコーヒー畑と一線を画している所もある。この町のなかだけに住み,商業に従事しているセム系のハラリという人々があり,独特の幻想的な服装が知られている。詩の世界を捨てて放浪の旅に出たランボーの住んでいた家が,町の一角に残っている。
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百科事典マイペディア 「ハラール」の意味・わかりやすい解説

ハラール

エチオピア東部,ハラール山地の南斜面(標高1800m)にある都市。付近は豊かな農業地帯で,コーヒー,綿花,皮革などの取引中心地。キリスト教徒により創設されたが,9世紀にイスラム教徒が征服,以降エチオピアにおけるイスラム勢力の中心地。詩人ランボーが住んだことでも知られる。1887年エチオピア領。10万5000人(2002)。

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世界大百科事典(旧版)内のハラールの言及

【障害者スポーツ】より

…さらに76年,おもに手や足の切断者と視覚障害者を対象にしていた国際障害者スポーツ協会The International Sports Organization for the Disabled(ISOD,1962設立)とともに,カナダで障害者オリンピック競技大会を開催し,80年には脳性麻痺者をも含めて行われるようになった。この大会は,国際オリンピック委員長から〈オリンピック〉という名称の使用を公認されてはいないが,夏の大会について言えば,陸上競技,水泳などごく一般的な競技種目を中心に,車いす使用者のためには卓球,アーチェリー,バスケットボール,ウェイトリフティング(パワーリフティング),スヌーカー(ビリヤードの一種),射撃,フェンシング,ローンボウル(ボウリングの一種),テニスを,切断者のためには卓球,アーチェリー,ウェイトリフティング(パワーリフティング),スヌーカー,射撃,ローンボウル,バレーボールを,視覚障害者のためにはローンボウル,ゴールボウル(バレーボールの一種),柔道を,そして脳性麻痺者のためにはボッチャ(ペタンクの一種),サッカー,乗馬,自転車を競技種目とし,今では,60年の大会を第1回として,パラリンピック(もう一つのオリンピックの意で使っている)と呼称し,障害者のオリンピックとして発展している。また冬の大会についていえば,国際的には76年にパラリンピック冬季競技大会にまで高まり,98年の長野大会(第7回)では,アルペンスキーのクロスカントリースキー,バイアスロン,アイススレッジスピードレース,アイススレッジホッケーが実施され,クロスカントリースキーには精神発達遅滞者の種目も正式に位置づけられている。…

※「ハラール」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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