ハラール(読み)はらーる(英語表記)Harald Gormssøn, Blåtand

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハラール」の意味・わかりやすい解説

ハラール
はらーる
alāl アラビア語

イスラム法シャリーア)で認められたこと(もの)」を意味するアラビア語。おもにイスラム法上で許される食べ物をさす。逆に「許されないもの」として禁止されていること(もの)をハラームarām、中間にあたる「疑わしいもの」は、シュブハShubuhaという。イスラム法は儀礼、食事の内容や作法、結婚や離婚、遺産相続、身だしなみ、金融など、生活全般の規準を定めており、イスラム教徒はこの規準にのっとって生活を営む。ハラールは清浄で安心できるものごとであり、賭博(とばく)や金融に際して利子をとること、姦通(かんつう)などはハラームに分類され、不浄で害になる非合法なものと規定されている。また、シュブハに該当するものは、避けるべきであると教えられる。

 イスラム教徒が食べることを許される食品は、規律に沿って屠畜(とちく)されたウシヒツジヤギなどの動物、野菜や果物、穀類海産物乳製品と卵、水などである。飲食が禁じられているものは、ナジス(不浄)とされるブタイヌ、アルコールを含む飲料や食品、牙(きば)やかぎ爪で獲物をとるトラ、クマタカフクロウなどの動物、毒性のある動物や害虫、ノミやシラミ、ナジスを餌とする動物などである。イスラム圏に輸出される食品や菓子、化学製品などについては、イスラム教徒が摂取できるかどうかの審査(ハラール認証)を行う認証団体が各国にあり、ここで認証されたものは、ハラール食品やハラール製品などとよばれる。

[編集部]


ハラール(青歯王)
はらーる
Harald Gormssøn, Blåtand
(?―985/988)

デンマーク王(在位950ころ~985/988)。青歯王はあだ名。ユトランド半島中部のイェーリングを本拠地に、父ゴーム老王Gorm den Gamleの死(950ころ)後デンマーク全域を支配した最初の王とされ、さらにノルウェーの王位継承争いに干渉してその南部地域も支配下に置いた(960ころ)。また、同じころデンマークの民をキリスト教に改宗させ、これらの事績を記念して、自ら北欧最大のルーン石碑をイェーリングに建てた。973年オットー1世(大帝)の死を契機にドイツを攻撃したが敗れ、翌年オットー2世に越境され、アイダー川付近に砦(とりで)を構築された。のちにこれを破壊し、当時の主要交易地ヘズビューのあるシュレスウィヒ地方を奪還した(983)。息子スベン(双髯(そうぜん)王、在位985ころ~1014)の反乱で王位を追われ、オーデル川河口に自ら建設したとされる要塞(ようさい)ヨムスボーに逃れたが、戦傷がもとでその地で没した。遺体は、自ら建立したロスキール教会に運ばれて埋葬された。

[荒川明久]

『J・シンプソン著、早野勝己訳『ヴァイキングの世界』(1982・東京書籍)』

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