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インナー・キャビネット inner cabinet

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

インナー・キャビネット
inner cabinet

イギリスの内閣において,閣僚のなかから少数の主要な者を選び,特に重要かつ迅速を要する問題を協議決定する制度をいう。閣内会議閣内内閣または少数内閣ともいう。 1853年アバディーン内閣が5人の主要な閣僚を召集して,クリミア戦争の対策を協議したのが始りだといわれる。内閣の議事運営は通常全閣僚で構成する閣議で行われるが,戦時または非常事態の発生した際,もしくは連立内閣の際には,しばしばこの制度が活用される。第1次世界大戦中ロイド・ジョージは,自分のほか蔵相,枢相,2人の無任所相の5人でもっぱら主要政策の決定にあたったといわれ,第2次世界大戦中 W.チャーチルもこの例にならった。この制度は法律に基づくものではなく,事実上の必要に応じて発達したものである。日本にはこの制度はないが,しばしば行われる関係閣僚協議会,あるいは首相と少数実力者閣僚との協議は,ある意味でこれに準じたものといえよう。

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百科事典マイペディアの解説

インナー・キャビネット

内閣中の少数の重要な閣僚が,閣内内閣を組織して重要事項の決定に当たる制度。英国ではクリミア戦争時に始まり,戦時しばしばこの制度がとられた。日本でも第2次大戦中の五相会議などをこう通称するが,実態は特殊政策のための閣僚委員会にすぎなかった。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

インナー・キャビネット
いんなーきゃびねっと
inner cabinet

閣内内閣または少数内閣と訳される。内閣は普通、総理大臣の主宰する閣議の決定によってその職権を行う。しかし、戦時や非常事態の発生、あるいは連立内閣の場合に迅速かつ統一的な処置の必要に応ずるため、閣僚のなかから少数の有力なものを選び、閣内にさらに少数の内閣を組織して重要な政策を審議決定することがある。これをインナー・キャビネットという。法律上の正式の名称ではなく、事実上の存在である。その起源は、1853年イギリスのアバディーン内閣がクリミア戦争の予防措置を協議するため5人の閣僚を招集したことに始まる。第一次世界大戦中1916年から1919年までの間、イギリスの首相ロイド・ジョージが、首相、財務相、枢密院議長、無任所相(2人)からなる5人(のち7人)の戦時内閣を設けたのがとくに有名である。ほかに、1931年のマクドナルド内閣(10人)、1939年のチェンバレン内閣(8人)、1940年のチャーチル内閣(5人)が、非常時・戦時内閣を設けた例がある。なお、少数内閣にヒントを得たもので、特定事項の政策を審議するための閣僚委員会cabinet committeesが置かれることがある。昭和初期、日本にあった五相会議、内政会議などは、国防費編成、農村不況など特定の問題を協議するもので、これは閣僚委員会であった。近年、重要課題について職務権限上密接な関係をもつ大臣による協議が行われることがある(たとえば、経済対策閣僚会議など)。これがインナー・キャビネットに相当する機能を果たしている。[小松 進]

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