エスキナンサス(英語表記)blushwort
basket plant
Aeschynanthus

改訂新版 世界大百科事典 「エスキナンサス」の意味・わかりやすい解説

エスキナンサス
blushwort
basket plant
Aeschynanthus

イワタバコ科の1属で,熱帯アジアに100種以上が分布し,多くは着生のつる性ないし半つる性の植物である。観葉植物として吊鉢に用いられ,また紅色の美しい筒状花をつける種類もあり,観賞価値が高く,園芸品種も作り出されている。葉は一般に多肉で光沢があり,対生につく。花は茎頂に房咲きになるか,葉腋ようえき)につく。花の筒部は湾曲するもの,あるいは先に向かってふくらむものなどがあり,先は5裂する。1本のめしべと4本のおしべがあり,花筒から突出する。赤色緋色の花をつける種類が多い。果実は線状に長く,中に長毛を有する小さい種子を含む。日本でも数種が栽培されているが,その中のエスキナンサス・ロッビアナスA.lobbianus Hort.は暗紫色の筒状の萼から口紅のように鮮明な赤色花がつくところから英語でlipstick vineと呼ばれる。繁殖はおもに挿木による。元来は着生植物なので,排水の良い多孔質の土で培養するとよい。耐寒性はあまりないから,冬季の保温に注意する。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「エスキナンサス」の意味・わかりやすい解説

エスキナンサス
えすきなんさす
[学] Aeschynanthus

イワタバコ科(APG分類:イワタバコ科)の常緑多年草で、木質化する種類もある。熱帯アジア、ニューギニアなどに100種以上が分布。樹木や岩に着生し、茎は下垂する種類が多い。葉は対生または輪生し、花は上部各葉腋(ようえき)に1~2花または茎頂に房状につき唇形花冠となる。ハナツルクサA. pulcher G.Don、スペキオーサスA. speciosus Hook.、ラディカンスA. radicans Jackなどが鉢栽培される。ミクランサスA. micranthus C.B.Clarkeは花も楽しめる観葉吊(つ)り鉢物として人気がある。挿木で殖やす。弱い光線のもとでも育ち、10℃以上で越冬する。トリコスポラムTrichosporumは旧属名。

[高林成年 2021年7月16日]

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百科事典マイペディア 「エスキナンサス」の意味・わかりやすい解説

エスキナンサス

熱帯アジア原産のイワタバコ科の亜低木状またはつる性の着生植物で,約100種がある。葉は対生し,多肉質で,室内観葉植物として吊り鉢などに仕立てられるが,観賞性に富む花をつける種も多い。花は唇形,筒状で,葉腋に1〜2個ずつつくか,茎の先に房状につき,花色は赤やだいだい色が多い。よくみかけるものに,暗赤色の大きな萼(がく)も目立つエスキナンサス・ラディカンス(エスキナンサス・ロッビアヌスとも)や,花の下半部がだいだい黄色になるエスキナンサス・スペシオサスなどの野生種などのほか,交雑品種もある。開花はふつう春〜秋。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エスキナンサス」の意味・わかりやすい解説

エスキナンサス
Aeschynanthus; basket plant; blushwort

イワタバコ科の常緑つる性多年草または半低木。インドからニューギニアにかけて約 100種が分布する。葉は対生もしくは輪生し,革質。多肉質になるものもある。花は葉腋や茎頂に単生,または房状につく。エスキナンサス・スペキオースス A.speciosusなど,花の美しい種がおもに吊り鉢仕立てで流通する。過湿に弱い。水はけのよい用土に植え,秋から春にはよく日を当て,真夏は半日陰で管理。冬は5℃程度まで耐えるが,なるべく 10℃以上に保つのが望ましい。

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