エーベルラン(その他表記)Øverland, Arnulf

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エーベルラン」の意味・わかりやすい解説

エーベルラン
Øverland, Arnulf

[生]1889.4.27. クリスティアンスン
[没]1968.3.25. オスロ
ノルウェー詩人。初め孤独と人生のむなしさを歌っていたが,ショーペンハウアーニーチェ,ハイネ,やがてマルクスフロイトの影響を受け,文化的急進主義を唱え,社会主義に近づいて現代ノルウェーの代表的詩人となった。第1次世界大戦後ブルジョア社会キリスト教に反対し,第2次世界大戦でドイツ軍が侵攻するや徹底抗戦を唱えて,その愛国詩で国民を鼓舞し,捕えられて終戦まで収容所で過した。この間に書いた詩を集めたのが『われらすべてを生きぬく』 Vi overlever alt (1945) である。初期では『さびしい祭典』 Den ensomme fest (11) ,『パンと酒』 Brød og vin (19) ,中期では『青い山』 Berget det blå (27) などが名高い。戦後はかつて H.A.ウェルゲランが住んだ家を国家から贈られた。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「エーベルラン」の意味・わかりやすい解説

エーベルラン
えーべるらん
Arnulf Øverland
(1889―1968)

ノルウェーの詩人。処女詩集『さびしい祭典』(1911)、翌年の『百のバイオリン』などでかなりの注目をひいたが、まだ低迷憂愁の影があり、ショーペンハウアー、ニーチェ、ハイネらの影響がみられる。ついでマルクスとフロイトに親しみ、より深い内部の声に耳を傾けるとともに社会主義に傾斜した。『パンと葡萄(ぶどう)酒』(1919)、民話風の題材を扱った『青い山』(1927)、『われ汝(なんじ)を呪(のろ)う』(1934)、『赤色戦線』(1937)などを経て、1940年ドイツ軍侵入後は熱烈な抵抗詩人として活躍、逮捕されて収容所を転々としながらも、国民を励ます詩を書き続けた。これらの詩は、のちに集められて『われらはすべてを生きぬく』(1945)となった。第二次世界大戦後は国民詩人の地位にあった。

[山室 静]

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百科事典マイペディア 「エーベルラン」の意味・わかりやすい解説

エーベルラン

ノルウェーの詩人。《さびしい祭典》(1911年),《百挺(ちょう)のバイオリン》などでは孤独にとじこもる詩人だったが,ニーチェハイネマルクスなどに親しんで次第に急進化,第2次大戦で徹底的抗戦を呼びかけ,逮捕されて収容所生活を送る。戦後は国民詩人として敬愛を受けた。《青い山》《おれはお前を呪う》,戦時中の詩《われらはすべてを生きぬく》などが有名。

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