カリッシミ

百科事典マイペディア 「カリッシミ」の意味・わかりやすい解説

カリッシミ

イタリアの作曲家。オラトリオ典型を創始した。生地はローマ近郊のマリーノだが,その生涯には不明の点が多い。ティボリ大聖堂の聖歌隊員・オルガン奏者,アッシジの聖ルフィーノ聖堂の楽長を務めたのち,1629年ローマのイエズス会の教育施設コレギウム・ゲルマニクム(ドイツ学院)の楽長に就任。以後生涯にわたり,付属する聖アポッリナーレ聖堂で音楽活動に従事し,その作品はヨーロッパ各地で演奏された。代表作《イェフタ》《ヨナ》をはじめとする10数曲のラテン語オラトリオは,主に《旧約聖書》に材を得たもので,その劇的な表現力はのちのヘンデルにも影響を与えた。ほかにカンタータモテットミサ曲など膨大な数の宗教音楽が残されている。フランスの作曲家M.A.シャルパンティエは彼の門に学び,その音楽様式を母国に伝えている。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カリッシミ」の意味・わかりやすい解説

カリッシミ
Carissimi, Giacomo

[生]1605.4.18. ローマ,マリノ
[没]1674.1.12. ローマ
イタリアの作曲家。カンタータオラトリオの最初の大家。 1624~27年チボリ大聖堂の歌手,オルガン奏者。 29年以後,ローマのイエズス会のコレジウム・ジェルマニクムの楽長。代表作『イェフテ』を含む 16曲のラテン語オラトリオにより,後世のオラトリオ作曲の範を示した。 M.シャルパンティエ,C.ベルンハルトらすぐれた弟子輩出。カンタータ作品も,表情豊かな旋律,多様な形式によって,18世紀後半まで室内カンタータの範例と仰がれた。その他,ミサ,モテト,室内アリアなど多数。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「カリッシミ」の意味・わかりやすい解説

カリッシミ
かりっしみ
Giacomo Carissimi
(1605―1674)

イタリアの作曲家。初期のオラトリオ最大の作曲家であり、カンタータも重要である。4月18日、ローマ近郊のマリーニで生まれる。チボリの大聖堂歌手を経て第一オルガニストとなる。1628~29年アッシジの聖ルフィノ教会楽長を務める。引き続きローマの反宗教改革の拠点ともいうべき教育機関「コレジョ・ジェルマーノ」に属する聖アポリナーレ教会楽長となり、74年1月12日、ローマで世を去るまでこの地位にとどまった。『エゼキア』『イェフタ』に代表されるオラトリオをはじめ、ミサ曲、モテット、カンタータの作曲に加え、マルカントアヌ・シャルパンチエ、ベルンハルト、ケルルらを育てた教育者としても重要である。

樋口隆一

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