マリーニ(読み)まりーに(英語表記)Marino Marini

日本大百科全書(ニッポニカ) 「マリーニ」の意味・わかりやすい解説

マリーニ
まりーに
Marino Marini
(1901―1980)

イタリアの彫刻家。ピストイアに生まれ、フィレンツェの美術学校に学ぶ。古代彫刻、とくにエトルリア美術の体験を根底にしながら、アルカイックな量感に満ちた人間像の彫刻から出発する。1930年代には「馬と騎士」が中心的なテーマとなり、それは60年代まで一貫して続く。さらに女性像「ポモナ」のシリーズがあり、そこでも古代的な母性のイメージが表される。第二次世界大戦を避けるためにスイスに赴き、その間アルプと知り合ったことなどから、作風は表現主義的な傾向を示し、馬と騎士の像は激しい運動感を加える。戦後ミラノに戻り、抽象的とまでいえる具象の限界に達するが、そこでもなお対象の生命力を失わない。48年と52年のベネチア・ビエンナーレ展で彫刻大賞受賞。なお、石版などの版画も多く残している。

小川 煕]

『吾妻兼治郎解説『ファブリ世界彫刻集17 マリーニ』(1972・平凡社)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マリーニ」の意味・わかりやすい解説

マリーニ
Marini, Marino

[生]1901.2.27. ピストイア
[没]1980.8.6. トスカーナ,ビアレッジョ
イタリアの彫刻家。フィレンツェの美術学校を卒業後,パリで彫刻を学ぶ。 1929~40年モンツァの美術学校で教え,40~42年ミラノで活躍。初め肖像,群像彫刻を多く制作したが,1930年代中頃に始めた『馬』の連作で認められ,以来隠れた精神的なものを表現する緊張感あふれる馬と騎手像を制作。またミラノ美術学校で教え,すぐれた教育家としても知られた。 52年ベネチア・ビエンナーレで大賞を受賞。主要作品『ロ・ポポロ』 (1929) ,『エルシリア像』 (チューリヒ美術館) ,『馬と騎手』の連作 (1930年代以降) ,『ストラビンスキー像』 (50) ,『奇跡』の連作 (50~60年代) 。

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