よな(読み)ヨナ(その他表記)Jonah

翻訳|Jonah

デジタル大辞泉 「よな」の意味・読み・例文・類語

よ‐な[連語]

[連語]
終助詞「よ」+終助詞「な」。文末に用いる》念を押し、確かめる意を表す。…(だ)よね。「君も行くよな」「確かにそう言ったよな
間投助詞「よ」+間投助詞「な」》
相手に言い聞かせるように言う意を表す。…だな。
信業のぶなりを招いて申さうずるやうは―、…と申せ」〈平家・二〉
㋑(多く文末にあって)感動詠嘆を表す。…なあ。…ことよ。
木立きだちと言ふらん―」〈今昔・二八・八〉

よな[名]

火山噴煙とともに噴き出される灰。火山灰九州、阿蘇地方でいう。

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精選版 日本国語大辞典 「よな」の意味・読み・例文・類語

よ‐な

  1. ( 間投助詞「よ」「な」の重なったもの ) 文節末に添えて、語調を整え、また、聞き手に軽く働きかける。
    1. [初出の実例]「音に聞きし天稚御子(あめわかみこ)をさへ見しよな」(出典:狭衣物語(1069‐77頃か)二)
    2. 「是はよな、娑竭羅龍王の第三の姫宮、胎蔵界の垂跡也」(出典:平家物語(13C前)二)

よな

  1. 〘 名詞 〙 火山の噴煙とともに噴き出される灰。火山灰。
    1. [初出の実例]「『よなが沢山降って参りますたい』『よなた何だい』『灰で御座りまっす』」(出典:二百十日(1906)〈夏目漱石〉三)

よ‐な

  1. 助動詞「ようだ」の連体形「ような」の変化したもの。
    1. [初出の実例]「此よな時節でも」(出典:浄瑠璃・卯月の潤色(1707頃)中)

ヨナ

  1. ( Jonah ) 旧約聖書ヨナ書」中の預言者

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改訂新版 世界大百科事典 「よな」の意味・わかりやすい解説

ヨナ
Jonah

旧約聖書中の人物。2人いる。(1)ガテ・ヘペルのアミッタイの子で,北イスラエル王国ヤラベアム2世の時代に,イスラエルの国力回復を預言した主の僕,預言者(《列王紀》下14:25)。(2)旧約聖書《ヨナ書》の主人公。神の命令にそむいて逃げたが,再び宣教につかわされ,ニネベの町の滅亡を告知する。しかし人々が悔い改めたため,神は災を下すことをやめる。ヨナはそのことに対して抗議するが,トウゴマ実例によって逆にその正当性を問い返される。主題としてヨナに代表されるイスラエルの存在理由と,神の普遍的な歴史支配を取り扱う特異な物語で,きわめて平易,単純な文体で記されている。預言者的精神と知恵的精神が織りなすこの物語の核は,バビロン捕囚前の民間伝承に基づく。
執筆者:

後者のヨナの物語は,初期キリスト教美術に最も多く見られる題材のひとつである。この物語が死と復活を暗示するところから,石棺浮彫などの葬祭芸術にしばしばとりあげられた。3世紀末の石棺(ラテラノ美術館,ローマ)には,旧・新約の諸場面とともに,舟から海に投げ込まれて大蛇のような魚に呑まれるヨナ,陸に吐き出されるヨナ,トウゴマの下に裸体で横たわるヨナの場面が見られる。このうち,楽園における人間の休息を暗示するとされる〈トウゴマの下のヨナ〉は単独でも表されることが多い。中世では,写本挿絵などにヨナ物語の諸場面が見られるが,旧約のヨセフの物語などとともに,しばしばキリスト復活の予兆として扱われた。近世以降の作品では,海に投げ込まれる場面を描いたルーベンスの絵画や,陸に吐き出される場面を描いたティントレットのサン・ロッコ宮殿天井画(ベネチア)などがある。
執筆者:

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「よな」の意味・わかりやすい解説

ヨナ
よな
yônāh ヘブライ語

北王国イスラエルの王ヤラベアム2世の治世(前787~前747)に活動した預言者。『旧約聖書』の「ヨナ書」によれば、アミッタイの子ヨナは、アッシリアの都ニネベ滅亡の預言を神ヤーウェに命じられたが、その使命を回避すべくヨッパの港から船出して海に逃れた。しかし暴風にあって大魚に飲み込まれ、陸に吐き出されたので、ついに神命に従い、ニネベで預言する。これによってニネベの町は滅びを免れた。

[定形日佐雄]


よな

熊本県の阿蘇(あそ)山中(なか)岳が噴出する細粒の火山灰の通称。しばしば山腹や山麓(ろく)に多量に降り、草木や農作物を害し、それを食べる牛馬も下痢や流産をする。茎や葉にセメントのように付着し、かつ、硫酸、塩酸、フッ酸などの可溶性成分に富むためである。堆積(たいせき)したよなは、豪雨、長雨、雪解けなどで崩壊し、濁流が下流域に惨害を与えやすい。1953年(昭和28)6月、阿蘇山から流出した白(しら)川の濁流で熊本平野一帯は泥土の原と化した。

[諏訪 彰]

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世界大百科事典(旧版)内のよなの言及

【阿蘇山】より

…有史以後の噴火活動は中央火口丘の一つである中岳火口からの噴火に限られていて,西暦553年からの噴火記録が残されている。おもに赤熱噴石を火口から噴出するストロンボリ式噴火を繰り返し,長期間継続して多量の火山灰(熊本地方の方言では〈よな〉と呼ぶ)を放出するものである。たび重なる火山灰の降下は農作物などに甚大な被害を与えてきた。…

【イルカ(海豚)】より

…魚の中でもっとも強く速いとされたイルカは,また魂を冥界に運ぶ使者と考えられた。初期キリスト教時代にもこの考え方が引き継がれ,イルカは預言者ヨナを飲み込み,無事陸地に送り届けた大きな魚とされて,救済と復活の象徴となった。また,としてキリスト自身を象徴し,しばしば三つ又の矛やいかり(ともに十字架の象徴)と結びつけてカタコンベの壁画などに表現された。…

【クジラ(鯨)】より

…【千葉 徳爾】
[シンボリズム]
 古くから海の怪物と呼ばれてきたクラーケン,リバイアサン,摩竭魚(まかつぎよ)などについて,その正体を鯨とする説がある。またキリスト教伝説でも,旧約聖書の《ヨナ書》に出てくるヨナをのみこんだ大魚は鯨とされるが,多くの場合サメやワニあるいはイルカとの混同と思われる。ただしアリストテレスの《動物誌》や大プリニウスの《博物誌》に空気呼吸を行う事実など相当詳細な記述がなされており,古代の地中海世界でも鯨が知られていたことは確実である。…

【復活】より

…石棺の浮彫には,クリスモンと月桂冠を飾った十字架の両側に,2人の眠る兵士(イエス・キリストの墓を見守るためにつかわされた兵士)を配し,〈復活〉の図像であることを示唆する表現が見いだされる。また新約聖書の〈ラザロの復活〉,旧約聖書のダニエルヨナの物語などが〈復活〉の予型として用いられることもある。墓を訪れる2人または3人の聖女たちによってこの主題を間接的に表す方法は,西欧中世において早くから用いられた。…

【舟∥船】より

…スイスの心理学者のC.G.ユングは,これを〈夜の航海〉の主題とよんで,海に象徴される無意識への退行と意識の再生による心理の変容過程を示すものと考えた。大魚にのまれて三日三晩海を航海した旧約聖書のヨナの話も同様な意味をもつものであろう。エジプトやアッシリアには,死者を乗せて航海する船の描画があるが,これも死と再生または永遠の生命を象徴するものと考えられる。…

【ヨナ書】より

…旧約聖書〈12小預言書〉の一つ。預言者の託宣を集めたものではなくて,ヨナという一人物の物語。内容は以下のとおり。…

※「よな」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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