カルバドス県(読み)カルバドス(その他表記)Calvados

翻訳|Calvados

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カルバドス県」の意味・わかりやすい解説

カルバドス〔県〕
カルバドス
Calvados

フランス北西部,バスノルマンディー地域 (レジオン) の県。イギリス海峡のセーヌ湾にのぞむ。県都カン。東部および北西部は,湿潤な気候で牧草地が多く,乳製品の供給地で,特にベッサン地方のバターは有名。南西部にはアルモリカ地塊があり,小さい林に囲まれた農家,農園が散在する「ノルマンディーのボカージュ地帯。有名な「カルバドス」 (りんご酒を蒸留したブランデー) を特産。起伏も大きく,パンソン山では標高 365m。その東麓のオルヌ川の谷は陥入して「ノルマンディーのスイス」と呼ばれる景色のよい観光地である。県中部は石灰岩質の低い台地で,表面は黄土におおわれ,コムギテンサイ,牧草栽培が行われる豊かな地方。海岸線に沿って「カルバドスの岩」と呼ばれる海食崖が発達し,その白亜層は建築石材として有名で,フランス西部の多くの建築物をはじめロンドン塔,ケルンの大寺院など外国でも用いられた。工業は鉄鉱山を控えるカンの鉄鋼業が中心。ほかに繊維工業などもある。沿岸地区は漁業と海水浴地帯。生産物では乳製品が最も重要であるが,収入源としては観光が重要で,トルービルなど海浜のリゾートも多い。第2次世界大戦で,連合軍ノルマンディー上陸作戦 (→オーバーロード作戦 ) の舞台となった「オマハ」海岸は北西部のグランカンレバンとポルタンベッサンの間,「ユタ」はその西方,「ゴールド」「ジュノー」「スウォード」の3海岸はその東方,オルヌ川河口との間にある。面積 5548km2。人口 61万 8478 (1990) 。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

仕事納

〘 名詞 〙 年の暮れに、その年の仕事を終えること。また、その日。《 季語・冬 》[初出の実例]「けふは大晦日(つごもり)一年中の仕事納(オサ)め」(出典:浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)油...

仕事納の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android