カルロビバリ(英語表記)Karlovy Vary

改訂新版 世界大百科事典 「カルロビバリ」の意味・わかりやすい解説

カルロビ・バリ
Karlovy Vary

チェコ西部,西ボヘミアのテプラTepla川とエルベ川支流オフジェOhře川の合流点に位置する世界的に有名な温泉・保養地。ドイツ名カールスバートKarlsbad。人口5万6000(1991)。第2次世界大戦前まではドイツ人町(1939年のドイツ人5万3300)であった。町名は皇帝カール4世(ボヘミア王,カレル1世)にちなむ。周辺のカルロビ・バリ山塊に源をもつ鉱泉(泉温43~73℃)は飲用浴用に供される。伝統的な陶器・ガラス工業をはじめ,化学・機械・製材・食品工業が盛んである。町は18~19世紀に急速な発展を見たが,ゲーテシラーベートーベンゴーゴリショパンなどが保養したことを示す碑が町のいたる所にあり,観光の名所となっている。1819年には自由主義運動を抑圧するドイツ連邦議会のいわゆるカールスバート決議がなされた場所でもある。また1年おきに国際映画祭が開かれ,日本は1954年から参加,その年《原爆の子》が平和賞を受けた。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カルロビバリ」の意味・わかりやすい解説

カルロビバリ
Karlovy Vary

ドイツ語ではカルルスバート Karlsbad。チェコ西部,チェヒ (ボヘミア) 地方西部の都市。プラハの西約 120km,ラベ (エルベ) 川の支流のオフジェ川とテプラー川の合流点に位置する。世界的に有名な温泉都市で,1347年に神聖ローマ帝国のカレル (カルル) 4世によって温泉保養地として建設されたといわれるところから,この名がある。 42~72℃のいくつかの泉源に恵まれ,観光,保養のために訪れる人が多い。町が急速に発達したのは 18~19世紀で,ベートーベン,ショパン,ゲーテ,シラーなども訪れている。ガラス製品,陶器,リキュール酒 (ベヘロフカ) は特産。ここで保養した有名人の碑が町のいたるところにあり,観光の名所になっている。1年おきに国際映画祭が開催されている。人口5万 6291 (1991推計) 。

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世界大百科事典(旧版)内のカルロビバリの言及

【温泉】より

…この分離された水が処女水である。チェコスロバキアの有名な温泉カルロビ・バリ(旧名カールスバート)温泉の起源について,オーストリアの地質学者E.ジュースは処女水説を主張した(1902)。この地域の降水量に対してカルロビ・バリ温泉の湧出量が著しく多いこと,温泉に含まれる炭酸物質や塩化ナトリウムなどの起源は地下深所のマグマに求めるべきであるというのが理由である。…

※「カルロビバリ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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