フランスの外科医。リヨンに生まれ,リヨン大学で医学を修め,1906年ニューヨークのロックフェラー医学研究所に入り,39年まで在職した。簡便な血管縫合術を開発,また組織培養法を開拓して生物学研究に新しい方法を提供した。臓器移植のため,血液や代用液を灌流させて臓器やその一部を長期間生存させる実験を続け,ニワトリ胚の心臓組織を30年余り生存させることに成功した。1912年ノーベル生理・医学賞を受賞。第1次大戦に従軍し,創傷を防腐液で灌流するカレル=デーキン法を創始して死亡率を下げた。大西洋横断飛行のC.リンドバーグと共同で35年人工心臓装置を試作した。著書《人間,この未知なるものL'homme,cet inconnu》(1935)は有名。1940年からフランスで公衆衛生調査にあたり,解放後パリで死去。
執筆者:本田 一二
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フランスの外科医、生理学者。リヨンに生まれ、リヨン大学医学部卒業後、同大学の教授を経てアメリカに渡り、ロックフェラー医学研究所で研究に携わる。血管縫合術(カレル縫合)、臓器移植に関し優れた業績をあげたほかに、組織培養法を確立した。その方法を用い、ガラス器内に移された細胞群が個体の寿命を超えて生き続けることを明らかにし現代の生命観に大きな影響を与えた。その著書『人間――この未知なるもの』(1935)で、人間を総合的に理解することの重要性を説いている。「血管縫合と血管・臓器の移植の研究」により、1912年ノーベル医学生理学賞を受賞した。
[竹内重夫]
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…ルクセンブルク家のボヘミア王,ドイツ王(在位1346‐78),神聖ローマ皇帝(在位1355‐78)。ボヘミア王としてはカレル1世Karel Iとよばれる。少年期の7年間パリ宮廷で教育を受け,15歳で父ヨハンの代理として自家の北イタリアへの勢力拡大工作に従事。…
…
[ドイツ化とその反動]
中世におけるチェコの繁栄は14世紀のルクセンブルク朝(1310‐1437)のもとで促進された。百年戦争中フランスの宮廷で成人した同朝のボヘミア王カレル1世(在位1346‐78)は,ハプスブルク家の躍進を危惧したドイツ諸侯によって1347年,神聖ローマ皇帝に選出された(皇帝としてはカール世)。彼は1356年に金印勅書を発布してボヘミア王を7選帝侯の首位におき,帝国の強化の基礎をチェコにおいたのである。…
…しかし同時に,インドなどのアジア市場における靴の販売競争を通して,両国間に経済的な競合関係も生じている。 第2次大戦によって両国の交流は一時中断したが,戦後プラハのカレル大学(プラハ大学)に日本語・日本学講座が開設され,本格的な日本研究の基礎が築かれた。57年には日本とチェコスロバキアの国交が回復し,東京とプラハに大使館が開設された。…
…近代におけるもっとも有名な奇跡は1858年南フランス,ルルドにおける少女ベルナデットBernadetteへの聖母マリアの出現と,その出現場所に湧出した泉による難病治癒である。1882年以降常設の医局が調査に当たっているが,1903年巡礼団付医師としてルルドを訪れ,みずから診察した死の患者の奇跡的な治癒を目撃したA.カレル(1912年ノーベル医学賞受賞)によって厳密な科学的研究への道が開かれた。カトリック教会は数次にわたる調査の結果,1923年にはじめて聖母出現を公式に事実として認め,33年にベルナデットを列聖し,治癒事例のうち比較的少数のものを奇跡と認定した。…
…温血動物の組織の増殖に興味をもっていたバローズM.T.Burrowsは,ニワトリの血漿を支持体および栄養源として用い,ニワトリ胚の神経系,心臓,皮膚などの外植体の細胞を増殖させた(1910)。さらに,A.カレルと協力して,哺乳類の成体からの外植片や癌化した組織を増殖させ,植え継ぎによる細胞の継代に成功し,そのうえ,ニワトリ胚の抽出物と血漿の混合液が優れた培養液であることをみいだした。外科医であったカレルは,無菌技術を導入し,長期培養に適したフラスコ培養器を考案して,ニワトリ胚の細胞を生体外で34年間も増殖させ続けた。…
…有名な霊媒には,ヒューム(ホーム)Daniel Dunglas Home,パラディーノEusapia Palladino(以上物理的霊媒),パイパーLeonore Piper,ギャレットEileen Garrett(以上心理的霊媒)などがいる。そのうちパラディーノに関しては犯罪学者ロンブローゾらが,パイパーに関しては心理学者W.ジェームズらが,ギャレットに関しては生理学者カレルらが実験的研究を行っている。霊媒を通じて,通常では得られない死者に関する正確な情報が得られても,その由来を解釈する場合,死後生存仮説の対立仮説として,実在するあらゆる情報源から超感覚的に関連情報を探し出し利用したとする超ESP仮説があり,死後生存の証明はきわめて難しいとされる。…
※「カレル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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