カンタブリア山脈(読み)カンタブリアサンミャク

デジタル大辞泉 「カンタブリア山脈」の意味・読み・例文・類語

カンタブリア‐さんみゃく【カンタブリア山脈】

Cordillera Cantábrica》スペイン北部の山脈イベリア半島北岸をビスケー湾に沿って東西に連なる。全長約480キロメートル。最高峰はピコス‐デ‐エウロパ山塊のトーレセレード(標高2648メートル)。新生代アルプス造山運動によって形成された褶曲しゅうきょく山脈の一つ。北側は西岸海洋性気候に属し、湿潤降雨が多く、水力発電が行われる。南側は乾燥地帯が広がり、鉄鉱石石灰岩を産する。カンタブリカ山脈

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改訂新版 世界大百科事典 「カンタブリア山脈」の意味・わかりやすい解説

カンタブリア[山脈]
Cordillera Cantábrica

イベリア半島北部,ビスケー湾沿いに東西に連なる山脈。全長約480km。新生代のアルプス造山運動により形成された褶曲山脈で,サンタンデルの南東ベサヤ川低地を境に東西に分かれ,東部のバスク山地は東西約200km,幅約100km,起伏はゆるやかで,南でメセタ,エブロ低地に移行し,第三紀の花コウ岩および砂岩で厚くおおわれる。西部のカンタブリア山脈は,東西280km,幅50~100kmで,そのほぼ中央に連なるピコス・デ・エウロパ山塊(最高峰2648m)に代表されるように高峻で,氷河地形,ドリーネなどのカルスト地形がみられる。レオンオビエドを結ぶパハレス峠をはじめ,峠はいずれも標高1000mを超える。南麓は断層により急崖が連なってメセタの壁をなしており,山脈北部の湿潤イベリアとメセタの乾燥イベリアとの境界として,対照的な農業景観をつくりだしている。エブロ川など大河川が源を発するほか,ビスケー湾に流入する小河川は急流で水力発電地帯を形成し,鉄鉱石炭など鉱物資源にも富む。バスク,アストゥリアス地方は,19世紀後半イギリス資本の導入により,スペイン有数の近代工業地域に変貌した。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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