カンピニー文化(読み)カンピニーぶんか

改訂新版 世界大百科事典 「カンピニー文化」の意味・わかりやすい解説

カンピニー文化 (カンピニーぶんか)

北フランス,セーヌ・マリティーム県のカンピニーCampigny遺跡標準遺跡として設定された考古学的文化。同遺跡の発掘(1886)の結果,前期新石器時代とされ,ピック,刃器(トランシェ)によって特徴づけられた。前7千年紀以降北ヨーロッパに盛行した森林性文化であるマグレモーゼ文化の石器に類似するため,その文化的関連が論じられた。フランスでは新石器時代から青銅器時代初頭までの遺物と共伴するので,新石器時代を通して存在し,さらにカンピニー文化系金石併用時代文化に継続すると考えられてきた。しかし長い研究史を通じて,今日なお層位学的立証を示す遺跡が発見されず,文化としての把握は否定されるに至っている。ただ特徴とされた大型石器を製作する技術的伝統の存在は認められ,その伝統が新石器時代から青銅器時代初頭のいくつかの文化(例えばモンモランシー文化)において保持されたと考えられる。
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百科事典マイペディア 「カンピニー文化」の意味・わかりやすい解説

カンピニー文化【カンピニーぶんか】

北フランスを中心にベルギー,オランダに分布する中石器時代後期の文化。1872年J.deモルガンが北フランスのカンピニーCampignyで遺跡を発見,漏斗(ろうと)状の住居跡や炉などが発掘され,初めてこの文化の存在が明らかになった。祖形斧(そけいふ),鶴嘴(かくし)斧をもち,近隣の農耕文化と併存していたと考えられる。

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