金銭登録機ともいう。商店などで商品を売り上げた場合,その商品の取引状況(数量,単価,合計金額)の内容を商店にも顧客にもわかるよう表示するとともに,その合計を加算,記録すると同時に,あわせて現金の保管を行う機械。
1879年アメリカのレストラン経営者リティJames Rittyが特許権を得たダイヤル・レジスターが起源である。これを同じくアメリカのパターソンが現在の型に改良した。99年には日本にも紹介されている。
日本では1926年に静岡県の間宮精一が,間宮式金銭登録機を発明した。この金銭登録機は,アメリカの金銭管理(不正防止)を主体としたものに対し,出納管理(営業の資料化)を主体としたものであった。以来,多くの改良が加えられ,今日ではほとんどの商店で使用されるようになった。特に71年には,かつての歯車などを使用する機械的なものから,ICを演算素子としたECR(エレクトロニック・キャッシュ・レジスターelectronic cash register)が開発され,利用の範囲を急激に広げた。
キャッシュ・レジスターには,機械的構造のフルキー式と電子化されたテンキー式とがある。最近ではほとんどがテンキー式になっている。その基本機能は次の五つから成っている。(1)取引内容の表示 取引の公正を期し表示器によって金額,取引別,商品別を識別する。(2)レシート発行 取引のつど自動的に日付,取引金額,部門別,取引別符号,連続番号などを印字,発行する。(3)営業記録の作成 取引明細を発生順に自動記録し,ジャーナルとして残す。このことは取引の監査,クレーム処理,税務対策上にも有効となる。(4)取引回数器 商品部門別,取引別の回数,総客数,精算回数を表示することで売場の実績を分析し,合理的な市場対策を立てるための資料にできる。(5)合計器 現金合計,取引別合計,部門別合計など精算すればただちに,すべての合計金額を打ち出す機能。ECRはこの合計器を,容易に,多くもつことができる。
キャッシュ・レジスターは,単体で機能するスタンドアロン機とコンピューターと連続できるシステム・レジスターに大別でき,その中でも各業種ごとの専用機の利用も高まっている。また,販売するごとに,品名,価格などを入力し,各売場の販売状況を即時に把握し,総合的な経営情報管理を可能とするPOS(ポス)(point of salesの略称)システムの研究も活発になっており,商品のタグにつけた品名,規格,価格などを読みとるキャッシュ・レジスターが,使用されている。
執筆者:末次 信義
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