クララ(マメ科)(読み)くらら

日本大百科全書(ニッポニカ) 「クララ(マメ科)」の意味・わかりやすい解説

クララ(マメ科)
くらら / 苦参
[学] Sophora flavescens Ait.

マメ科(APG分類:マメ科)の多年草。茎は直立して上方ですこし分枝し、高さ0.8~1.5メートル。葉は奇数羽状複葉で15~41の小葉からなる。小葉は長楕円(ちょうだえん)形で長さ2~4センチメートル。6、7月、茎や枝の先に長い総状花序を出し、多数の蝶形花(ちょうけいか)をつける。花は黄白色で長さ1.5~1.8センチメートル、萼片(がくへん)は小さく、旗弁(きべん)は強く反り返る。雄しべは10本、すべて離生する。豆果は4、5個の種子を含み、線形ですこし四角張り、長さ7~8センチメートル、熟すと側面でぎざぎざに裂ける。本州から九州にかけての山野草地川原に生え、朝鮮半島、中国、シベリアにも分布する。名は、眩草(くららぐさ)が詰まったもので、根をかむと目がくらむほど苦いことによる。

[立石庸一 2019年10月18日]

薬用

漢方では根を苦参(くじん)といい、マトリンを主とするアルカロイドを含有するので、味は甚だ苦い。健胃、利尿解熱止瀉(ししゃ)、殺虫作用があるので、消化不良、腸カタル皮膚病の治療に用いる。民間では、あせも、皮膚病でかゆみの激しいときに、煎液(せんえき)で湿布したり、煎液を風呂(ふろ)に入れて入浴する。

[長沢元夫 2019年10月18日]


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