皮膚疾患ともいい、皮膚に現れるすべての変化をさす。おもな症状には、痛み、かゆみ、灼熱(しゃくねつ)感などの自覚症状をはじめ、発疹(ほっしん)などの皮膚表面の変化のほか、発熱や血液および尿の変化などの全身症状がある。皮膚は体表を覆っているため、外界からの刺激や種々の病原体に直接触れる機会が多く、かつ体内からの影響も強く受ける。そのうえ、体表のわずかな変化も目で見たり手で直接触れることができ、さらに病変部の一部を採取して病理組織学的に検査したり、微生物を検索したりすることなども、内臓の疾患に比べて容易であり、個々の病気の診断を明確に下しやすい。これらの理由によって、皮膚病は他の臓器の疾患に比べておびただしい種類に上り、また複雑な病名も多い。したがって、皮膚病を明確に分類することは困難である。
なお、皮膚病を扱う診療科目として皮膚科があるが、全身的な病気の部分現象として皮膚に病変の現れるものについては、他科の協力を得る必要のある場合も少なくない。
皮膚科外来の約3分の1を占める湿疹は代表的な皮膚病で、湿疹症候群あるいは湿疹・皮膚炎群としてまとめられている。
また、皮膚の肉眼的病変の総称名として皮疹(発疹)があり、皮膚科学の基本としてもっともよく研究されている分野である。
さらに皮膚の組織異常を母斑(ぼはん)といい、いわゆる「あざ」の大部分が含まれ、これが他の諸器官の組織異常を伴って一つの疾患を形成したものは母斑症とよばれる。
このほか、俗に知られる癤(せつ)(おでき)、やけど、白癬(はくせん)(水虫)などをはじめ、脱毛症などの毛髪疾患、爪囲(そうい)炎(ひょうそ)などの爪(つめ)の病気、あるいは皮膚癌(がん)、梅毒などの性病、皮膚結核、ハンセン病などもあり、皮膚病の多くはそれぞれの項目(病名)で解説されている。
また、いわゆる皮膚病に用いられる薬物も多種多様であるが、皮膚外用薬として一括されている。
[川村太郎]
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…ネコの飼育管理(とくに排泄物の始末)が正しければ,ネコからヒトが感染することはなく,むしろ生肉を調理した際,手指をよく洗うように心掛けることのほうが重要である。(6)皮膚病 真菌によるものとノミ・アレルギーが比較的多く,また幼若期に去勢や避妊手術を受けたネコは,ホルモン失調性の脱毛を起こすことがある。真菌症は円形の脱毛と脱毛部のかさぶたが特徴であるが,真菌の種類によっては必ずしも円形ではなく,種々である。…
…しかし,自由終末の一部は表皮内にも入り込むことが,少なくとも動物皮膚では確かめられている。毛【山内 昭雄】
[皮膚の病気]
皮膚の病気皮膚の構造や機能に先天的に障害があったり,後天的に全身性の疾患に伴って,あるいは外来性の種々の因子により障害をうけて皮膚病を生ずる。したがって皮膚病は先天性と後天性とに明確に分けるとわかりよいが,先天性のものでも実際にはその遺伝型式が明らかでないもの,形態学的な皮膚の構造異常によるもの,生理・生化学的な機能異常によるものなどが含まれていて,その分類は簡単ではない。…
※「皮膚病」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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