クレジット・デリバティブ(読み)くれじっとでりばでぃぶ(英語表記)credit derivatives

知恵蔵 の解説

クレジット・デリバティブ

貸付債権社債等の信用リスクの売買を目的とする金融派生商品。信用リスクを移転したい者が買い手となり、信用リスクへの投資を望む者が売り手となる。形態は様々だが、「クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)」、「トータル・リターン・スワップ(TRS)」が代表的。CDSは、貸付債権の債務者・社債発行法人の経営破綻などの「クレジット・イベント」時に発生する損害額と、一定のプレミアム(保険料に近い)を売買する。TRSはLIBOR(ロンドン銀行間取引金利)などの市場金利や参照資産の評価損等と、参照資産から発生する利息や評価益等を売買する。ヘッジしたい信用リスクに応じて取引内容を柔軟に設定できる、参照資産そのものの移動を伴わないため、債務者や社債発行法人等に影響を与えずに信用リスクを移転できるという長所がある。他方、個々に取引内容を設定するため、契約内容の整理・交渉に苦慮するとの短所があったが、ISDA(国際スワップデリバティブズ協会)から契約書のひな形と用語定義集が発表され、契約書の標準化が進んだ。それに伴い市場規模も拡大している。

(吉川満 (株)大和総研常務理事 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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