リスクヘッジ(読み)りすくへっじ(英語表記)risk hedge

日本大百科全書(ニッポニカ) 「リスクヘッジ」の意味・わかりやすい解説

リスクヘッジ
りすくへっじ
risk hedge

広く一般に「危険を避けること」をさし、死亡、事故、失業など、不慮の事態に備えて保険に入ることもリスクヘッジ一種である。株式や外国為替(かわせ)商品などの資産運用分野では、分散投資してリスクを抑えることを意味する。

 投資の世界では、「卵は同じ籠(かご)に入れるな」の格言どおり、資産を分散することがリスクヘッジにつながると経験上知られていた。たとえば、株式相場の下落局面では、先物取引で空売りするなどの反対売買が有効であるとされてきた。アメリカ人のノーベル経済学賞受賞者、H・M・マルコビッツはリスク(収益率のばらつき度合い)とリターン(収益率)を統計的数値に置き換え、投資先を分散すればリスクヘッジできることを数学的に証明した。

 以後、マルコビッツの理論は近代ポートフォリオ理論として発展。金利変動、為替変動、信用、流動性、地政学的などの各リスクに対し、収益率が反対方向に変動する(相関係数マイナス1に近い)投資先を組み合わせることで、リスクヘッジする手法が開発された。ただ近代ポートフォリオ理論は統計学に基づいており、2008年のような予想を大きく超える経済危機時にはヘッジ機能が働かず、限界があることもわかっている。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「リスクヘッジ」の意味・わかりやすい解説

リスク・ヘッジ
risk hedge

先物,オプションスワップなどの手段を用いて価格変動リスク金利リスクなどを回避または軽減すること。たとえば国債を購入する場合に,国債の先物を売っておくか,国債先物の売りオプションを取得しておけば,将来国債の価格が下落して,先物の価格やオプションの設定価格を下回った場合には,先物を決済またはオプションを行使することで損失をほぼ相殺することができる。また,金利リスクについては,固定金利の債権をスワップにより変動金利の債権と交換することなどで金利変動によるリスクを回避できる。

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