グテーレス(英語表記)Guterres, António

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「グテーレス」の意味・わかりやすい解説

グテーレス
Guterres, António

[生]1949.4.30. リスボン
ポルトガルの政治家,外交官首相在任 1995~2002)。フルネーム António Manuel de Oliveira Guterres。リスボン大学の高等工科学校 ISTで物理学と電気工学を学び,1971年学位取得。1974年社会党入党。右派独裁のマルセロ・カエターノ政権打倒の軍事クーデター「カーネーション革命」を機に起こった民主化運動に積極的に参加し,1976年国会議員に初当選。1995年の議会選挙で社会党を勝利に導き,首相に就任した。在任中は,旧宗主国の首相として,インドネシア政府や国際連合と協議を重ねるなど,2002年の東ティモールの独立達成に重要な役割を果たした。その後,社会主義インターナショナル議長を務め,2005~15年国連難民高等弁務官(→国連難民高等弁務官事務所)に就任,中東地域やアフリカで急増する難民問題に取り組んだ。2017年第9代国連事務総長に就任。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「グテーレス」の意味・わかりやすい解説

グテーレス
ぐてーれす
António Manuel de Oliveira Guterres
(1949― )

ポルトガルの政治家、外交官。第9代国連事務総長。リスボン生まれ。1971年、リスボン工科大学工学部卒業後、助教(システム工学・通信信号処理理論)を務めた後、1974年に社会党に入り政界へ転じた。1976年に国会議員に当選。1995年から2002年まで首相を務め、リスボン国際博覧会(1998)やマカオの中国返還(1999)を実現した。ヨーロッパ理事会議長(2000)、社会主義インターナショナル議長(1999~2005)などを歴任。政界を引退後、2005年、第10代国連難民高等弁務官(UNHCR)に転じ、2015年まで、シリアなどの中東やアフリカの難民問題や、ジュネーブ本部の職員削減などに取り組んだ。2016年の国連総会で、国連事務総長に選出され、2017年に就任(2022年再任)。貧困対策・格差是正、人権擁護、地球温暖化対策のほか、米中対立、新型コロナウイルス感染症(COVID(コビッド)-19)の流行、ロシアのウクライナ侵攻などへの対処に取り組んでいる。国連創設後に生まれた初の事務総長であり、首相を経験した初の事務総長でもある。

[矢野 武 2022年11月17日]

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