日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ゲンツ(Friedrich Gentz)
げんつ
Friedrich Gentz
(1764―1832)
ドイツの政論家。1785年以来プロイセンの官僚となり、フランス革命勃発(ぼっぱつ)当初はカント哲学の影響下にこれを支持したが、革命運動の急進化をみて態度を変え、バークの『フランス革命の省察』のドイツ語訳を解説つきで公にしたことから、にわかに反革命の論客として注目を集めた。1802年オーストリア政府の招きでウィーンに移ると、文筆活動を通じて反ナポレオンの世論をあおり、メッテルニヒに重用されて、ウィーン会議では書記役を演じた。ドイツ連邦体制下でも、立憲君主制の反動的解釈を主張するなど、盛んに反自由主義の論陣を張ったことで知られる。
[成瀬 治]
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