サボア(読み)さぼあ(英語表記)Savoie

精選版 日本国語大辞典 「サボア」の意味・読み・例文・類語

サボア

(Savoie) フランス南東部の旧地方名。アルプス山地にあり、イタリア国境を接する。一八六〇年まではサルデーニャ王国に属していた。中心都市シャンベリー。サボイ。サボイア

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デジタル大辞泉 「サボア」の意味・読み・例文・類語

サボア(Savoie)

フランス南東部の地名。イタリア国境のアルプス山地にあり、1860年までサルデーニャ王国領。イタリア語名、サボイア。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「サボア」の意味・わかりやすい解説

サボア
さぼあ
Savoie

フランス南東部、イタリア国境に接する歴史的地域。おもに現在のフランスのサボア県とオート・サボア県に相当する。イタリア語ではサボイアSavoia。11世紀以後サボイア(サボア)家の領地となり、1860年以後フランス領。

 紀元前7世紀ごろよりケルト人が住んでいたが、前2世紀末からローマ人に占領されるようになった。5世紀にはブルグント人、6世紀にはフランク人の支配下に置かれた。9世紀末からブルグント王国に帰属し、1032年に神聖ローマ帝国領に併合された。そしてこれ以後、この地をサボイア家が治めるようになった。サボイア家は、ハプスブルク家とフランスとの対立、神聖ローマ帝国とローマ教会との対立のはざまにあって、綱渡り的な外交政策を通して生き延びた。1792年フランス軍の占領下で開かれた議会領主制の廃止とともにフランスへの併合を決め、96年ビットリオ・アメデオ3世はこれを認めた。ナポレオン1世の没落によって、サボアはサルデーニャ王国のもとで旧体制に戻ったが、自由主義勢力は旧支配勢力と対立した。フランスへの復帰を希望する人も少なくなかった。イタリア統一運動リソルジメント)の過程で、ナポレオン3世はサルデーニャの首相カブールから対オーストリア軍事協力と引き換えにサボアとニースの譲渡の密約を得、トリノ条約に基づく1860年の住民投票で、サボアのフランスへの帰属が決まった。第二次世界大戦ではドイツ軍に占領されたが、武装集団マキが組織され、レジスタンス運動が活発であった。

[本池 立]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サボア」の意味・わかりやすい解説

サボア
Savoie

イタリア語ではサボイア Savoia。フランス南東部のアルプス西端に接する地方。サボア県とオートサボア県に分れる。中心都市はシャンベリ。巨峰モンブランやモンスニ,小サンベルナール峠など山地が主であるが,アルプスの渓谷では水力発電所が多数あり,アルミニウム,鉄鋼,化学工業なども行われている。住民のおもな生業は家畜の飼育と酪農で,シャモニー,エクスレバンなどの観光地は世界的に有名。ローマ時代はその属州ガリアナルボネンシスの一部であったが,5世紀以後ブルグンド族が定住し,フランク王国の分裂後ブルゴーニュ王国に属した。 11世紀には神聖ローマ帝国領となり,11世紀中頃からサボイア家が支配し,領地を次第に拡大した。サボイア家はスペイン継承戦争では皇帝側に立ってルイ 14世と争い,ミラノの一部およびシチリアを獲得,まもなく後者をオーストリアに譲りサルジニア島を得て,ピエモンテ,ニースを含むサルジニア王国を建設した (1720) 。ナポレオン戦争中はサルジニア島を除く全領域をフランスに奪われたが,1815年以後回復,ジェノバも加えてイタリア最大の王国に発展,イタリア統一の中核となった。 59年サルジニア国王ビットリオ・エマヌエレ2世はナポレオン3世と結んでオーストリアと戦ったが (第2次独立戦争) ,その代償としてサボアとニースはフランスに割譲 (1860) 。以来サボアはフランス領として今日に及んでいる。

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百科事典マイペディア 「サボア」の意味・わかりやすい解説

サボア

イタリア語ではサボイア。フランス南東部,レマン湖南の地方。主都はシャンベリー。東はアルプス連峰でスイス,イタリアに接し,西はローヌ川に及ぶ。サボアとオート・サボア両県に相当。森林資源が豊富で,牧畜,穀物・果樹栽培が盛ん。ローヌ川の水力発電を利用した産業地域でもあり,食品,時計などの伝統的な産業のほか,現在は,アルミニウム,電気化学,機械などの工業が行われる。観光・保養地も多く避暑地のアヌシー,モン・ブラン登山基地のシャモニーは有名。サボイア家発祥の地で,11世紀半ば以降同家の支配地だったが,1860年にフランス領となった。

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世界大百科事典 第2版 「サボア」の意味・わかりやすい解説

サボア【Savoie】

フランス南東部の旧地方名。イタリア,スイスと国境を接し,アルプスの要地である。主都はシャンベリーChambéry。歴史的にはまずローマ帝国の領土となり,6世紀にはブルグント王国の一部になった。1032年神聖ローマ帝国の領土に統合され,11世紀半ばころから帝国諸侯の一つであるサボイア家の支配するところとなった。フランス革命後ナポレオンによってフランスに併合され(1792‐1813),1860年最終的にフランス領に編入された。

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