イタリアのローマにある初期キリスト教時代のバシリカ式教会堂。教皇シクストゥス3世(在位432-440)により建設され,聖母マリアにささげられた初めての教会堂となった。5世紀中ごろのみごとなモザイク装飾が残る。内陣の凱旋門型アーチ壁面には,〈空の御座〉を中心に,段状の構成でキリスト幼児伝の諸場面とベツレヘム,エルサレムが表される。図像的にも場面選択のうえでも独特のこの装飾は,神の母(テオトコス)処女マリアによるキリストの受肉という,エフェソス公会議(431)で認められた教義を反映するものと考えられている。身廊には,キリスト到来と帝国内におけるローマ教会の主導権という理念と関連して,アブラハム,モーセ,ヨシュアの生涯など旧約伝が表される。アプスには〈マリアの戴冠〉を表す13世紀の装飾が見られる。
執筆者:浅野 和生
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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